ちなみに、「日時を決められると、眠れなくなる」という症状は、ずっと遅刻をしないようにする「努力」から生じたのである。これも、経験がない人はわからない。きちがいヘビメタが、午後一〇でも鳴っていたので、午後一〇時に眠ると言うことはできないんだよ。きちがいヘビメタが午後一一時一〇分に鳴り終わったら、午後一一時一〇分から、ねむれるかというと、ぜんぜん眠れないんだよ。「俺だって騒音ぐらいあった」「俺だって朝は眠い」と言っているやつだって、毎日続く、きちがい家族による、一日なのかで非常に長い時間続く騒音は経験してないのである。だから、それがわからない。もちろん、ヘビメタが好きな人にとっては、たいした騒音じゃないけど、ヘビメタの音が、この世で一番嫌いなぼくにとっては、ものすごい騒音なんだよ。ものすごい体験なの。平日、午後四時に家に帰ってきたとする。そうすると、平均で約六時間五〇分ぐらいは、ずっとヘビメタが鳴っているのである。きちがい兄貴が、飯を食う時間と、風呂に入る時間以外は、全部、フルの音で、ガンガンに鳴らしているのである。どれだけ、「宿題をやるからやめろ」と言ったって、やめないのである。そうやって、午後一一時一一分に鳴ったとする。眠れるかというと眠れない。これ、こういう家族が、きちがい的な意地でガンガン鳴らしていて、明日、何時に起きなければならないということになると、不安がしょうじるのである。それは、鳴っているときからそうなんだよ。頭がかき乱されてしまうんだよ。ようするに、通学をするとなると、朝何時何分までに、家を出ないと遅刻してしまうということが決まってしまう。そうなると、朝何時何分には起きなければならない」と思うだろ。これが、眠れなくなるひとつの原因なのである。そういうことに気がつかない人が、「自分だったらどれだけ鳴っていても鳴り終わったら、眠れる」という前提で、「だれだって騒音ぐらいあった」「俺だって、朝は眠い」と言ってくるのである。けど、それを言うその人は、きちがい家族がいないのである。きちがい的にでかい音である分野の音楽をききたがるきちがい家族がいないのである。いないのである。いないのである。だから、経験してないのである。経験してないのである。毎日、毎日、騒音と出発時刻に挟まれることがないのである。騒音がなくても、出発時刻が気になることはある。けど、それは、きちがいヘビメタ騒音がはじまるまえの、ぼくのように、特別な日を除いて、そんなに気になることではないのである。そして、特別な日だって、けっきょくは、いつものように眠れるのである。けど、ヘビメタ騒音がはじまってから、特別ではない日も、特別な日も、いつも眠れないのである。ヘビメタ騒音がはじまるまえは、いつも、心配事があっても、眠れたのである。普通に眠れたのである。「自分だったらどれだけ鳴っていても鳴り終わったら、眠れる」という前提でものを言う人は、実際に、はさまれたことがないからわからないのである。毎日はさまれたことがないからわからないのである。何十日も続いた時点で、睡眠回路が破壊される。