起こる確率というのは、条件によって決まる。
だから、条件は非常に重要。条件が、確率を決めているのだから、条件は、めちゃくちゃに重要だ。
ところが、思霊理論は、最初から最後まで、思ったか思わなかったかという条件以外の条件を無視しているのである。
実際には、 思ったか思わなかったかという条件以外の条件が結果に影響をあたえている。思ったか思わなかったかということが、影響をあたえる事象と、影響をあたえない事象がある。
「思った」か「思わなかった」かということは、ひとつの条件なのだけど、これを、固定して考えよう。
その場合、「思った」か「思わなかった」かということよりも、その他の条件が与える影響のほうがでかいことがある。
「思った」か「思わなかった」かということが、〇%の影響をあたえ、その他の条件が一〇〇%の影響をあたえる場合について考えてみよう。
たとえば、天候など、本人の意思とは関係がないものは、「思った」か「思わなかった」かに関係なく、その日のその時刻の、その地域の天候が決まってしまう。本人の思いとは関係がない事象がある。本人の思いとはまったく関係がない事象は、本人の思いとはまったく関係ないのだから、本人の思いとはまったく関係なくしょうじる。
しょうじた結果に関して言えば、生じた結果の影響を本人がうけることはある。これは、その結果が、本人の「新たな条件」になっているということだ。
* * *
「思った」か「思わなかった」かということが、大きな影響をあたえ、その他の条件が小さな影響をあたえる場合について考えてみよう。
たとえば、机の上にある消しゴムを動かすということは、「思った」か「思わなかった」かということが、大きな影響をあたえる。けど、この場合も、まず、机の上に消しゴムがあるという条件を満たさなければならないのである。
なので、条件は大きな影響をあたえるということもできる。
まず、消しゴムがなかったら、消しゴムを買いに行って、消しゴムを手に入れたあと、消しゴムを机の上に置かなければならない。消しゴムの入手方法は、他にもある。
だから、なんらかの方法で、消しゴムを手に入れるということを、まず、しなければならない。
すでに、ほかの条件がそろっている状態なのであれば……つまり、これは、さまざまな条件を満たしているということになるのだけど、「意思」が強く影響をあたえることがある。
机の上にある消しゴムを動かそうと思わなかったのであれば、動かさないわけだし、動かそうと思ったから、動かしたわけだから、「意思」は、結果に、大きな影響をあたえている。
けど、そもそも、消しゴムがなかったら、消しゴムを動かすことができないのだから、机の上に消しゴムがあるという条件が、意思以上に大きな影響をあたえているということもできる。
消しゴムがあるかないかという条件について語ったわけだけど、じつは、机があるかどうかという条件も重要だ。机の上に消しゴムがなければ、机の上の消しゴムを動かすことができないのだから、机があるということも重要な条件なのだ。
そして、思ったあと、本人が、死なないということも条件として成立していている。
消しゴムを動かそうと思ったあと、突然、体調が悪くなり倒れて死んでしまった場合は、消しゴムを動かそうと「思った」のに、消しゴムを動かせなかったということになる。
この場合も、消しゴムを動かそうと「思った」かどうかということ以外の条件が、「結果」に影響をあたえている。
* * *
もう一つ例をあげておく。たとえば、トマトを食べようと思ったとする。そして、家にトマトがなかったとする。その場合、店にトマトを買い行くというような行為が必要になる。
普通に動ける状態で、買いに行く時間があるのであれば、買いに行って、トマトをゲットすることができる。
しかし、これも、店にトマトがあるかどうかということが、結果に影響をあたえる。いつもよく行く店にはなかったとする。
けど、別の店に行くことを思い立って、別の店に行ってトマトを買ったとする。そのあと、家に帰って、家でトマトを食べたとする。次の店には、トマトがあったわけだけど、これだって、次の店にトマトがあるかどうかという条件が結果に影響をあたえている。
影響をあたえない事象ほうが多い。圧倒的に多い。だいたい、オギャーと生まれるまえから、さまざまな条件が影響をあたえているので、「さまざまな条件の影響をうけない思考」というのが、ほんとうにあるのかどうかわからない。
たぶん、ないんじゃないかな。