ネズミのことだって、俺がやったことじゃないのに、家にきた人には、俺がやったように思われる。
俺は、親父に反対してたんだ。
親父が、一日に二三時間ぐらい、ものすごく、くさい、粕漬の魚を、テーブルの上に出しておくということに、こだわって、どれだけ俺が「やめろ」と言っても、やめなかったのが原因だ。
ネズミがくるようになった原因だ。
俺がやったことじゃなくて、きちがい親父が意地になってやったことなんだよ。
竹だってそうだ。親父が植えたんだよ。俺とおかあさんは反対してたんだよ。けど、親父がいないときに、玄関の前で、蚊に刺された人は、俺に文句を言ってくる。「どうにかしたほうがいいですよ」と言ってくる。
しかも、一六万円もかけて、竹を切ったあとなのだ。竹なんて、三ケ月もすれば、猛烈な勢いではえてくる。
ぼくは、第二形態と言っているのだけど、背が低い割には、枝と葉っぱが多い状態になっていた。竹を地面の高さで切ったあと、三ケ月でそうなった。対処はしていたのである。だから、竹のことで文句を言われるとは思わなかった。
竹を植えたのはおやじなんだよ。
そして、竹やその他の植物が多いから、蚊に刺されるということで、親父に文句を言っていたのは俺なんだよ。だから、玄関の前でまっているときに、蚊に刺されたということを言ってくる人の……気持ちはわかる。
自転車を出すだけで、蚊に四か所食い刺されるのは当たり前だった。きちがい親父に言ったって、きちがい親父は、「なんだよぉ」と言って、なにもわからないままだ。
「そんなの気にしなくていい」という態度なのだ。この態度は、きちがい兄貴の態度とおなじだ。これ、ほんとうに、相手がこまっているということがわからないのである。
やっているときだと、真っ赤な顔をして、発狂して、相手の言い分を、はねのけるわけ。けど、竹を植えちゃったあとは、竹を植えるという行為をしているわけではないので……文句を言われると、真っ赤な顔をしておこるということはないのだけど、不機嫌そうな顔をして、無視をするのである。
相手が言っていることがわからないままなのだ。まあ、「そんなことを言ってきて」と不愉快な気持にはなるんだよな。だから、「そんなのなんだ!」とおこる場合もある。けど、やっているときの怒りとは、ちょっと程度が低い。
作業のさいちゅうだと、発狂するけど、やり終わっているわけだから、なんていうのかな、爆発度はそんなに高くない。
けど、相手がこまっているということは、認めないんだよ。
自分が不愉快な気持になったということだけがわかっている状態なんだよ。自分がやったことで、相手がこまっているということが、もう、まったくわからない状態なんだよ。猿よりもわからない状態なんだよ。
これは兄貴もおなじだ。兄貴がエレキギターを弾いて、ヘビメタを鳴らしているときに……「やめろ」と言われると、真っ赤な顔をして発狂して、やりとおしてしまうわけだけど、ヘビメタを鳴らしていないときに、「しずかにしてくれ」ということを言われると、不愉快そうな顔をして、黙りこくる。
親父とおなじで、相手がこまっているということが、まったくわかってないのだ。
いやなことを言われて自分が不愉快になったということしか、わからない。
だから、言うかどうかは別にして「なんだ!そんなの!」と思っている状態なのだ。
きちがい親父ときちがい兄貴は、頭の構造がおなじなんだよ。
どれだけ、俺がこまるか……。
ほかの人に文句を言われるのは俺なんだぞ。
きちがいヘビメタで、どうしても、遅刻してしまう……。
けど、他人は、きちがい兄貴といっしょに住んでいるわけではないので、実際にやられていない。だから、どうしても遅刻してしまうということの必然性がわからない。
なんか、きちがい親父やきちがい兄貴が日常的にやっていることで、ぼくが悪く言われるということが、あるんだよ。
繰り返されすぎた。ネズミだって、また、入ってきた。これ、一度、ネズミのにおいがつくと、どれだけやってもダメなんだね。狙われている状態にはかわりがない。風呂場の、せっけんを食べられたよ。