以降『上の人』というのは、条件がいい人のことだとする。『下の人』というのは、条件が悪い人のことだとする。
ちょっと前に述べたように、物事が起こりやすい確率がちがう。
そして、『上の人』は、いいことが起こりやすい状態でくらしているのである。そして、『下の人』は、いいことが起こりにくい状態でくらしているのである。
ところが、そういう格差を無視して、「こころに描いたイメージを引き寄せることができるかどうかのちがい」にしてしまうわけだ。
そして、引き寄せ理論を信じないのであれば、『下の人』の現実はわからないのである。彼らの言い分だとそうなる……。
しかし、見逃されることが多いけど、実は、引き寄せ理論を信じても、どれだけうまく、引き寄せ行為を実行しても『下の人』の現実は、まったく、かわらないのである。
しかし、『下の人』が現実をかえられないのは、引き寄せ理論を信じないから、現実をかえられないということになってしまうのだ。あるいは、引き寄せ行為を「うまく」実行できないから、『下の人』は現実をかえられないということになってしまうのだ……。
ほんとうは『下の人』の現実は、『下の人』がもっている条件によって作り出されているのだけど、引き寄せ理論を信じないから、現実をかえられないとか、引き寄せ行為をうまく実行できないから、現実をかえられないと……思う人が出てくる。
引き寄せ理論を信じてしまうと、信じてしまった人には、現実がそのように映るのである。ようするに、引き寄せ理論を信じる人が増えれば増えるほど、『下の人』の現実は、「置いてきぼり」にされるのである。
だって、現実にはなにもしなくてもいいということになる。社会的には、『下の人』の条件をかえるようなことは、しなくていいということになってしまう。
『下の人』が、引き寄せ理論を信じないからだめなんだということになってしまう。『下の人』がうまく引き寄せ行為を実行できないからダメなんだということになってしまう。
『下の人』がうまく引き寄せ行為を実行できないのは、その『下の人』の自己責任だということになってしまう。
また、これは、「教える側」のキャッシュポイントを増やすことになる。「だから、うまくできるコツを教えてあげると言っているでしょ」……ということになる。
引き寄せ理論を信じる「精神世界の人」たちは、『下の人』に「引き寄せを信じないからダメなんだ」「引き寄せ行為をうまくやらないからダメなんだ」と言うわけ。
これは、ひどい言葉なんだよ。
けど、精神世界の人たちは、ひどい言葉を『下の人』に投げかけているとは、まったく思わない。
「いいことを教えてあげている」と精神世界の人は思っているのだ。
「引き寄せを信じない『下の人』はネガティブだからダメなんだ」と言いきってしまう。
「引き寄せ行為をうまくできない人は、潜在意識で否定しているからダメなんだ」と言いきってしまう。
こんなの、まちがった理由で、人にマウントをとって、悦に浸るような行為なのだけど、やっている本人は、ほんとうに「人のために」言っていると思っているのだ。
あるいは、「本当に、下の人によくなってもらいたいと思って、引き寄せ行為のコツについて語っているのだ」と思っているだ。
この人たちは、自分が『下の人』たちに、ひどい言葉を投げかけているつもりがないのである。
精神世界の人たちは「事実だ」「真実だ」「真理だ」「宇宙法則だ」と言って、じつは、詐欺的な理論だということを認めない。「引き寄せ理論」が詐欺的な理論だということを認めない。そして、自分が、『下の人』の現実的な条件を無視しているということを認めない。
『下の人』は、引き寄せ理論を信じても、現実がかわらないのに、あたかも、さぼっているような言い方をされて、傷つくのである。
だから、引き寄せ教祖が「信じるのも信じないのもあなたの自由」と言っておくことは、意味がある。重要な意味がある。この言葉がセットされているので、「下の人は、信じないからダメなんだ」と……引き寄せ信者が軽く思うようになるのである。
こう思うように仕向けられている。引き寄せ信者は、洗脳されている。