あっ、そうだ。ほんとうに元気なのと、ほんとうは、つかれはてているのに「元気だ元気」だと言って、元気になろうとしている状態はちがうということは、言っておきたい。「元気だ元気だ」と言えば、元気になると言っている人たちは、ほんとうに元気な状態と「元気だ元気だ」と言って元気になろうとして気をはっている状態のちがいがわからない。ぜんぜん、ちがうのだ。言霊主義者は「元気だ元気だと言えば元気になる」と言う。ほんとうは、「元気だ元気だと言えば、言わないよりは、元気になったような気がする」というレベルのことのだけど、もともとの言わなくても元気な状態の元気になると信じている。ようするに、ほんとうは、ちがうのだけど、言霊主義者のなかでは、もともとの元気な状態と元気だ元気だと言って元気になった状態は、おなじものだと想定されているのである。けど、ちがうんだよね。理由がある場合の元気な状態を元気Aだとする。「元気だ元気だ」と言って元気になったような気がする場合の元気を元気Bだとする。元気Aと元気Bは、まったくちがうのである。けど、元気Aのイメージと、元気Bのイメージを作り出して、元気Aと元気Bは、おなじだと思っているのである。これ、大きな間違いなんだよね。けど、これまた、どれだけ、言霊主義者に説明しても、わかってくれない。「元気になると言えば元気になる。これが正しい。おまえは、なにを言っているんだ。単純なのが正しい」と言って認めない。認めないんだよなぁーー。ある種の頑固さはある。
あと、これは、重要なことなんだけど、……そして、これを(言霊主義者は無視しているのだけど)条件がそもそもちがうのだ。ほんとうに、元気な状態でくらしているときの条件と、「元気だ元気だ」と言わなければならなくなったときの条件はちがう。「元気だ元気だ」と言って元気になろうとしている状態なのだから、元気じゃないのである。そして、それには、物理的な理由があるのである。たとえば、きちがい家族が、きちがい的な感覚で、きちがい的な騒音を鳴らし続けるので、夜、眠るべき時間に眠れなくなって、一日中眠れずに、行動しているときの条件と、普通にご飯を食べて、普通に眠りたくなったから、夜、眠るべき時間に眠って、元気な状態は、ぜんぜんちがう。ちがうのだ。そして、一日中眠れなかった場合は、眠れずに元気ではないから、「元気だ元気だ」と言って、元気になる必要性が生じてしまうのである。こんな状態が、普通の元気な状態とおなじであるはずがない。「元気だ元気だ」と言って、元気になろうとする状態というのは、すでに、「元気さ」に疑問を感じ、つかれている状態なのだ。ぜんぜんちがうので、ぜんぜんちがう。