書いたら、書いたということが、潜在意識に影響をあたえるということが言われるけど、潜在意識なるものを過大評価しすぎなのである。
潜在意識がものすごい力をもっているということになっているけど、どうして、それなら、一度メモしたことを忘れてしまうのか?
潜在意識がものすごい力をもっているのなら、一度メモしただけで、忘れない。顕在意識が忘れても、潜在意識がおぼえているので、ものすごい力を発揮して、メモをしたことを、ごく自然におこなうことができるということになる。
ところが、忘れないようにメモをしたのである。それは、将来、忘れることがあるということを前提とした話だ。こういう前提が成り立っている話をしているわけだから、一度メモしたのに忘れるということが、わりと頻繁にあるということを意味している。
潜在意識に残っているなら、本人が意識しなくても、メモをした内容を、正確に実行できるはずだ。実行できないのであれば、じつは、潜在意識なんて大したものではなくて、ぜんぜん頼りにならないものだということだ。
けど、そう言ってしまっては、カモがよってこない。
潜在意識という、学術的なタームではないタームをつくりだし、あたかも、潜在意識がものすごい力をもっているということを前提とした話をするわけだ。
そうすると、潜在意識はものすごく頼れるパートナーであるから、言霊理論の言霊のように、魔法のような力を発揮するのである。
しかし、潜在意識がすごいパワーを発揮しない場合が、当然出てくる。
その場合は、「(あなたが)パワーを引き出せないだけだ」という説明をするのである。
だから、いつでも、パワーを引き出せるようなコツを教えてあげると言って、おカネをもうけようとするのである。
ひどいやつになると、潜在意識が宇宙意識につながっているということを言いだし、潜在意識に命令しただけで、すべてのことがかなうということを言いだす。これも、トリックなんだよ。
潜在意識に命令するのは簡単で、ようするに、紙に書きだせばいいということを言う。紙に書きだしただけで、潜在意識に命令したことになる。
だから、潜在意識が宇宙意識を動かして、宇宙意識が、書いたことをすべて、実行しはじめるというのだ。
ここにおいて、言霊理論における言霊のような役割をするのである。言霊理論は、言っただけで、言霊の力が、言ったことを現実化するという理論だ。
書いただけで、潜在意識と宇宙意識がつながっているので、宇宙意識が潜在意識に残っている内容……つまり、書いたことを実行しはじめるという説と、書いたものをはりだして、普段から見るようにすると、潜在意識に焼きつくので、宇宙意識が潜在意識に残っている内容……つまり、書いたことを実行しはじめるという説がある。
けど、どっちも、でたらめだ。
けど、別に、目標を紙に書いて、はりだしておくというようなことを否定するつもりはない。それは、普通の意識的な行動だ。見たら『いやな感じになる』こともあるけど、見たら『やりたくなる感じになる』ことだってある。
これは、普通の意識の問題だ。
意識や注意や認識や行動といった普通の用語で説明できることだ。潜在意識などという、インチキ用語を使って、説明しなくてもいい。