「過去は関係がない」と言うやつらがいる。
こいつらは、普段、過去を気にして、過去の記憶を頼りにして暮らしている。
「過去は関係がない」と言ったやつが、なんかの病気になったとする。まあ、手術をして生きのこったとする。
けど、後遺症が残ったとする。
「過去は関係がない」のだろうか?
なんかの病気になったのだって、拡大して見れば、分子レベルの移動や変化があったから、なんかの病気になったのだ。分子レベルの移動や変化が発生したという過去の出来事は、関係がないのか?
「過去は関係がない」と言えば、後遺症がなおるのか?
後遺症が残った結果、できないことが発生したとする。そのできないことは、「過去」を否定すれば、できるようになるのか?
「過去」を否定したってできるようにはならない。
「過去の出来事の結果」できなくなったのである。
練習をすれば、補える部分があるとする。これだって、「後遺症が残った」という過去の出来事が関係している。練習をしても、おぎなえない部分があるとする。「過去は関係がない」と言って、過去を否定すれば、できるようになるのか?
そんなことはない。
ほかの病気でもいい。
病気になったという過去の出来事を否定すれば、病気がなおるのか?
「過去は関係がない」と言って、過去の出来事を否定すれば、病気になるまえの状態にもどるのか?
こいつらは、自分ことに関しては、「これこれだから、これができなくなった」というようなことを言うのだ。「階段から落ちて、けがをした」というようなことを言うのだ。
過去の記憶があり、過去の出来事が影響をあたえていると認識しているから、そういう発言をする。
自分がやっていることがわかってない。普段、自分がどういうふうに生活しているのか、まったくわかってないのだ。
「過去は関係がない」なんて、口がさけても言えないような生活をしている。
こういうところも、なんか、兄貴に似ているんだよな。自覚がないんだよなぁ。自覚がまったくない。クチからでまかせばっかり……。
自分の普段の行動を否定することを、言って、まるで気にしない。
なんかの病気になって、その結果、なにかができなくなったとする。時系列的にはなんかの病気になったということがさきだ。つまり、現時点においては、なんかの病気になったということは、過去の出来事なのである。
現在、なにかができなくなったのは、過去の時点においてなんかの病気になったからだ。過去は関係がある。過去の出来事が、現在の状態に影響をあたえている。
「過去は関係がない」と言えば、過去の出来事からフリーになって、なにかができないという現在の状態がかわるのかといえば、かわらない。「過去は関係がない」と言ったって、現在の状態は、かわらない。
現在の状態がかわるには、現在の状態をかえるようななにかが発生しなければならないのである。そして、未来のある時点から考えれば、現在の状態をかえるようななにかが発生したということは、過去の出来事なのである。