たとえば、言霊主義者が眠たくなったとき、どうするか? 眠れる状態であれば眠ると思う。「眠らなくても、眠ったのとおなじ状態になる」と言って、眠らずに起きているかというとそうではないのである。もし、眠たいにもかかわらず、眠ることができない状態だったらどうするか? 「一秒後には、眠らなくても、眠ったのとおなじ状態になる」と言って、眠ったのとおなじ状態になって、置き続けているのだろうか? ちゃんと、眠るのではないか。そして、眠りたいときに、どれだけ「眠りたくない」と言っても、「眠りたい」と感じているのではないか? 言霊主義者は、自分の現実的なことに関しては「言霊で解決しよう」と思わずに、普通の方法で解決しようとするのである。カネがなかったら、アルバイトをするというような現実的な方法で解決しようとする。しかし、人には「言ったことが現実化する」と言うのである。ようするに、言うことによって解決することができるというようなことを言うのである。ところが、ほかの人が言っても、問題が解決しない場合がある。「言ったあと」と「言ったから」の混同は、一般にみられる現象なので、「言ったあと」と「言ったから」の混同してしまう人もいる。なので、「言ったら問題が解決した」と思う場合もある。けど、それは、「言ったから」ではない。「言ったあと」の特殊なケースもある。AさんとBさんがいて、AさんがBさんを好きになったとする。AさんがBさんに、直接、好きだから付き合ってくれ」と言ったとする。その結果、AさんがBさんとつきあうことができたとする。この場合は「言ったから」問題が解決したと、言える。普通の範囲でいえる。しかし、これは、言葉にやどると言われている?言霊によって解決したのではない。言霊の力でAさんが問題を解決したわけではない。Aさんは、言葉の力で解決した。時系列的には「言ったあと」解決したので、これは「言ったあと」の特殊なケースだ。だから、言ったことによって、言ったあと、問題が解決することはあるのだけど、それは、言霊の超神秘的な力によって解決したわけではないと言うことは、明記するべきなのである。言霊の超神秘的な力による場合は、BさんがAさんのことを好きではないのに、言霊のすごい力によって、Aさんのことを好きになり、Aさんの申し出をうけいれたというようなことが起こる場合なのである。あるいは、言霊力によって、まったく好きではないAさんの申し出をうけいれたというようなこととが起こった場合なのである。ところが、言霊にはそういう力がないのである。うまくいったケースを例としてあげて、「言霊という神秘的な力が存在する」ということを、言霊主義者は、他者に説明するけど、これは、詐欺的な説明だ。詐欺なのである。言霊主義者は、こだわてっいないし、認識していないけど、詐欺だ。「言葉の力」がかかわっている場合は、「言ったから、言った通りになった」と言える場合がある。けど、その場合、言葉の力であって、言霊の力ではない。なまじか、「言ったから」と言えてしまうところが、難点だ。これは、だましのポイントでもある。
話をもとにもどそう。言霊主義者も、じつは、自分の現実的な問題に関しては、言霊的な解決法を利用しようともしないのだ。どうしてかというと、言霊的な解決法が「無駄だ」ということがわかっているからだ。「やったってしかたがないこと」なのである。「言ったって、言った通りにはならないこと」なのである。「言ったって、言った通りにはならないことだから、言わない」のである。言霊的な解決方法をこころみようともしない。「元気だ元気だ」と言えば、眠らなくたって、元気に活動できるのだから、眠らなければいいじゃないか。すべての恋愛問題を、言っただけで解決できるのだから、言って解決すればいいじゃないか。なんで、言霊主義者なのに、恋愛の問題を言霊で解決しようとしないのか? 「一秒以内に、彼女は自分のことを好きになる」と言えば、そうなるのだろ。「一秒以内に、彼氏は自分のことを好きになる」と言えば、彼氏は自分のことを好きになるのだろ。だっら、そうやって、問題を解決すればいいじゃないか。そして、これは、一回でも言ったら、そうなるのである。「言えば、言った通りになる」のだから、一回でも言ってしまえば、その通りになる。言霊というのは、言霊主義者にとっても、たよりない力なのである。そんな力は、まったく信じてないから、現実的なことに関しては、現実的なことをするのである。作業を続けなければならない状態で眠りたくなったら、「一秒後には、眠ったのとおなじ状態になる」と言えば、問題は解決してしまうのである。不眠不休で、活動できるのである。つかれを感じたら、「元気だ元気だ」と言えば、つかれた状態ではなくなるのである。「一秒後に、自分のからだは、つかれないからだになる」と言えば、一秒後には、かならず、つかれないからだになっているのである。「一秒後に、自分は死なない存在になる」とひとこと言えば、一秒後には、「死なない存在になっている」のである。ところが、言霊主義者なのに、「人間はいつか死ぬ」などと言うのだ。「自分だって、いつかは死ぬ」と、言霊主義者であるにもかかわらず言うのだ。「あの人のことを好きだったけど、自分には高根の花だからあきらめた」と、言霊主義者であるにもかかわらず言うのだ。「つかれたから眠りたい」と、言霊主義者であるにもかかわらず、言うのだ。言霊主義者には、そもそも、おカネの問題も、恋愛の問題も、身体の問題も発生しないはずなのである。発生した場合も、言えば、解決できるはずなのである。「言えば、言った通りになる」のだから、言うだけで、解決できる。言霊主義者が、いろいろな問題化をかかえてるということ自体が、おかしいのだ。すべての問題を、言霊で解決できる。言うだけで解決できる。すぐに、不死になる。すぐに、他人を生きからせることができる。すぐに、瞬間移動ができる。すぐに、ほしいカネを手に入れることができる。できる、できる、できるできる。できると言えばできる。
ところが、言霊主義者でさえも、実際には、つかれを感じたり、眠りたいと思ったりするのである。眠りたいけど、眠ると問題が発生するときは、「一秒以内に、眠ったのとおなじ状態になる」と言えば、それで、問題解決なのである。言霊主義者が「眠りたいのに、条件的に、眠ることができない」という問題に悩まされることは、ないのである。
言霊主義者が、眠りたいのに眠れないという問題に悩まされるのであれば、それは、言霊理論がまちがっているということなのである。言霊主義者でさえも、普通に、眠って、体力の回復をはかろうとするのである。実際に、眠るのである。何時間先になるのか、あるいは、十何時間先になるのか、あるいは、何十時間先になるのか、それはわからないけど、ともかく、眠りたいと思った言霊主義者は、実際に眠ってしまう。言霊的な解決方法で、眠らずに、問題を解決するということができない。