だめだ。眠れない。腹がへったので、ご飯を食べるために、寝床から出た。今日は、歯医者だから、眠っておかなければならないのだ。
背中がかゆい。かゆいのも眠れない理由のひとつだ。
予定があるのに眠れないというのは、ヘビメタ騒音の影響だ。これ、毎日、こういう状態だったのである。どれだけつらいか、みんな、きちがい家族の騒音にさらされたことがない人はわからない。
ほんとうに、きちがい兄貴は、きちがいだから「つもりがない」のだよ。毎日毎日、つもりがないのにやっている。毎日毎日、どなりこまれているのだから、相手がいやがっているということを理解したらどうだと思う。ともかく、脳みそがおかしいから、相手がどれだけ「迷惑だからやめてくれ」と言っても、相手に迷惑をかけているつもりがわかない。わかなかったら、どれだけやったって、やってないことになってしまう。きちがいの頭のなかでそうなってしまう。けっきょく、ずっと鳴らされているあいだじゅう、影響をうけて、宿題ができないまま、ズタボロな状態になってしまう。ズタボロな状態というのは、なり終わったあとも続く。鳴り終わったあと、まさしく、ズタボロな状態で、起きているということになる。これが、不可避なのである。「眠れる、眠れる」と言ったって、眠れないのである。どうしてかというと、七時間近く、きちがいの騒音を聴かされたからだ。からだが、反応している。脳みそが反応している。無視できない。学校から帰ってきて、七時間近く鳴らされるということが、どういうことなのか、やられたことがない人にはわからない。休みの日は、これが一三時間続く。それが、毎日毎日、おなじように繰り返される。こっちが試験だろうが何だろうが、きちがい兄貴が、気にしないで鳴らし続ける。もちろん、こっちは、「やめてくれ」「うるさい」と言うわけだけど、きちがい兄貴がきちがい親父の態度で無視して鳴らしてしまうのだ。自分が鳴らしたい音で鳴らしたい時間鳴らせれば、きちがい兄貴はそれで満足して、なにもしなかったということになってしまう。いや。きちがい的な意地で鳴らしづけただろ。よそのうちでは一分間だって鳴らせない音でずっと、鳴らしただろ。
これ、影響をうけないことは可能だ……という前提でものを言ってくるやつが、どれだけ理解しているかわからない。「影響をうけないことは可能だ」というような無理なことを考えるやつは、相手の立場でものを考えるということができない人間なんだよ。そういう意味でも、こいつらは、兄貴と似ているところがある。
どんだけでかい音で鳴らされたって、宿題ぐらい、できる……。できないんだよ。どれだけがんばってもできないんだよ。どんな状態だって、できると言えば、できる……。できると言ってもできないんだよ。言霊理論によっている人は、相手のことをまったく考えてない。「どんな状態だって」という言葉をつけなくても、「言えば言ったことが現実化する」というのは、「どんな状態だって、言えば言ったことが現実化する」ということを意味しているんだよ。
じゃあ、言霊理論によっている人が、俺とおなじように、ずっと、きちがい家族による騒音を経験したかというと、経験してないのである。言霊理論によっている人が「俺だって、苦労をした」と言っても、その苦労は、きちがい家族によってもたらされた苦労じゃないのである。きちがい家族にやられた人が……やられ続けた人が「どんな状態だって、言えば言ったことが現実化する」なんて、言うわけがないだろ。どういう状態で、どういうことを経験したかというのは、重要な問題だぞ。なんで、均質化、同質化するんだよ。「俺だって苦労した」「私だって苦労をした」と言えば、均質化できるわけではないし、同質化できるわけでもないんだぞ。