全部とは言わないけど、条件の写し絵になってしまっているところがあるのだ。
問題は、条件なのに、悪い性格が条件をもたらしたということを言いだす人たちがいることだ。
精神世界の人たちの多くがそういう思考法に「ならされている」し、普通の人たちも、そういう思考法に「ならされている」。もちろん、全員ではない。そういう思考法になれている人たちがいるということだ。
もう、何回も言っているけど、別にのび太が、悪いことを考えたから、結果として、ジャイアンがなぐってくるわけではないのである。ジャイアンがなぐってきたので、暗い気持ちになったのである。
のび太が、ジャイアンになぐられて、多くの人たちにとって、「愚痴」と判断されることを言ったとする。ジャイアンがなぐってくる頻度があがれば、のび太が「愚痴」を言う頻度もあがる。
もちろん、それは、「愚痴だ」と判断した人たちが、愚痴だと思っているだけなのかもしれない。ともかく、「愚痴だ」と判断した人たちは、のび太が愚痴を言うような、悪い性格だと決めつけてしまうのだ。
そして、愚痴を言う「から」ネガティブなことが発生すると言い出す。
ようするに、愚痴を言いやすい性格なので、ジャイアンがなぐってくるのだということを、間接的に、言うのである。
この、因果関係を逆転させた、あとだしジャンケン思考というのは、なにも、精神世界の人たちのものだけではない。普通の人も、普通にそうしている。
ようするに、悪い条件からうまれた結果を、悪い条件をもたらしたほうではなくて、悪い条件にやられたほうの「性格」の問題にすりかえてしまうのだ。
愚痴を言うような悪い性格だから、なぐられる……。なぐられるというようなネガティブなこと・暗いことが発生するのだということを言う。
これは、悪い条件の写し絵だ。
悪い条件によって発生したことを、じつは、判断するほうが「ネガティブなこと」だと判断して、「ネガティブなことを言うから、実際にネガティブなことが発生するのだと決めつけてしまう。
のび太が、愚痴を言いやすい性格だから、愚痴を言いたくなるようなことをひきよせている……という言い方になる。