本当は、条件の格差が現実を構成している。しかし、頭のなかだけは、お花畑にできるのである。しかし、お花畑にしているあいだ、じつは、条件の格差を反映した現実が続くのである。実際には、条件を反映したハンディがある。
条件の格差が、その個人の現実を繰り出してしまう。
しかし、「明るいことを考えれば明るいことが起こる」「言えば言ったことが現実化する」「引き寄せればよい」ということを言って、一時的に、夢を見させる。
これは、麻薬みたいなものだ。
一時的に、幻影を見せるのだ。一時的に、現実のくるしさをやわらげてくれる。
なので、そういう話を聴いたときは、いかにもそういう話が正しいという感じがする。「思えばかえられる」「言えばかえられる」「引き寄せればかえられる」……こういうふう思って、現実の世界でそういうことができそうな感じがする。
けど、実際には、「ウン・コロコロアップ」のおまじないとおなじように、効果がないのである。じゃあ、嘘を言っている人たちはどうして嘘を言うのかというと、ひとつには、その人たちが儲けたいからで、もうひとつは、黒側のシステムに貢献したいからなのである。黒側というのは、支配者が側の悪い集団だと思っていい。
条件の格差に、目をむけさせないことが、第一の目標なのである。
そのために、そういう考えをはやらせる。そういう考えをはやらせるための実行部隊が、宗教集団であり芸能人でありインフルエンサーだ。おまじない系のことが正しいこととして流通しているあいだ、現実は、格差によって構成され続けるのである。
現実を構成しているのは、ほんとうは、格差なのだ。
ところが、絶対にそれに気がつかないように「夢」をあたえているのである。
「明るいことを考えれば明るいことが起こる」「言えば言ったことが現実化する」「引き寄せればよい」と思いながらも、満員電車に乗って通勤しているのは、そういう条件が成り立っているからなのである。
言えば、言っただけで、現実をかえることができるのに、どうして、満員電車に乗って通勤しているのかという問題に目を向けたほうがいい。
満員電車に乗って通勤しないと生活ができない……という『条件』が成り立っているから、そうしているのである。満員電車にのって通勤しないと生活ができない……という『条件』があなたをして、そうさせているのである。
言えば、言っただけで、現実をかえることができるのに、どうして、満員電車に乗って通勤しているのか??
言えば、言っただけで、現実をかえることができるのに、どうして、三〇〇〇万円の金融資産をもってないのか。「明日には、三〇〇〇万円の金融資産が、ある状態になる」と言えば、明日には、三〇〇〇万円の金融資産がある状態になるはずなのである。
けど、そんなことを言ったって、三〇〇〇万円の金融資産ができるような具体的な理由がなければ、三〇〇〇万円の金融資産はできない。どうして、三〇〇〇万円の金融資産がない状態で働いているのかというと、そういう条件が成り立っているからなのである。
そして、その条件の差は、じつは生まれたときから、ある。
条件の差が現実を繰り出している。
言えば、言ったことが現実化すると言っているけど、言ったって、三〇〇〇万円の金融資産なんて、わいてこないじゃないか。三〇〇〇万円あると言えば、三〇〇〇万円ある状態になるんでしょ。だったら、言って、三〇〇〇万円ある状態をつくればいいでしょ。
けど、どれだけ言ったって、現実はかわらない。現実を構成している条件がかわらなければ、現実はかわらない。
ところが、その重要な条件を、すべて無視してしまうのである。
無視して、「言えば言ったことが現実化する」と言って、夢を語るのである。
「言えば言ったことが現実化する」と言って、夢を語る現実が続くだけなのである。
言えば言ったことが現実化するのだから、三〇〇〇万円なんて、現実的なことを言わないで、三〇〇〇兆円と言ってもいいのではないか。言ったところで、三〇〇〇兆円がわいて出てくるわけではないということを知っているから、そういうふうに言わないだけなのではないか。言ったところで、三〇〇〇兆円がわいて出てくるわけではないから、満員電車にのって、通勤しているのではないか。
なんで、突然「言えば言ったことが現実化する」「これは、絶対に正しい」という気分になってしまうのか? 洗脳されているんだよ。