きちがい兄貴やきちがい親父が、やったことで、俺がへんな人間だと思われるのが、あまりにも多かった。ほかの人には、きちがい兄貴やきちがい親父がいないので、本当は、わかってない。俺が説明をしても、わかってない。わかってないまま、「人のせいにしている」「そんなのは、自己責任だ」と言いやがる。そういうことも含めて、ぼくは、きちがい家族にやられていない普通の人間から、誤解をうけている。本当に、きちがい家族が、どれだけの意地で、どれだけこまることをやるか、ぜんぜんわかってないんだよね。普通の人は……。どうしてかというと、自分がきちがい家族に、日常的にやられなかったからだ。自分が、きちがい家族と、日常生活のなかで、接触しなかったからだ。実際に、やられた時間がないのだから、やられた時間について、誤解をする。「ぜんぜんちがうんだ」と言っても、「人のせいにしている」「そんなのは、自己責任だ」と言う人は、自分がやられてないから、わからない。しくみがわからない。きちがいのしくみがわかるのかよ。不可避的に影響をうけると言っても、こいつらはわからない。「人のせいにしている」「そんなのは、自己責任だ」と言っている人はわからない。どれだけ、ちゃんと説明をしても「わからない」という点では、なんと、きちがい兄貴やきちがい親父とおなじなのである。似ている。構造が似ているんだよね。わからなければ、そいつのなかでは、そのままだ。
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やっぱり、いっしょに住んでいれば、どうしても影響をうけてしまうというところがある。不可避的に、影響をうけるのである。ところが、きちがい家族と一緒に暮らしたことがない人は、きちがい家族と一緒に暮らしたことがないので、きちがい家族特有の影響というのがわからない。きちがい家族にしかないような部分というのがわからない。きちがい家族にだけにあって、普通の家族にはない部分がわからない。きちがい家族の行動、態度、感覚……全部、きちがい家族と一緒に暮らしたことがない人にはわからない。けど、わからなくても、「判断」はするのである。完全に誤解をしている。