背中が、いたがゆいんだよ。ほんとうに、どうしようかと思って……。ダニが関係しているのはまちがいないのだけど、ダニ以外のものも関係しているような気がする。内側から出ている湿疹系のものも、まじっているような気がする。まあ、ダニにやられる数年前から、寒冷蕁麻疹やほかのなにかで、かゆくなっていた。だから、複数の原因がかさなって、いたがゆくなっている。
自分の人生を考えると、ほんとうに、ほんとうに、言いがたいことがたくさんある。そして、その言いがたいものが、全部、いまのぼくに影響をあたえている。これ、「過去のことは関係がない」などと言っちゃう人がいるけど、そんなことはないんだよね。だいたい、「過去のことは関係がない」などと言っちゃう人だって、そういうふうに言いたい気分のときだ、そういうふうに言って、普段は、過去を気にして生きている。過去の記憶を頼りにして、生きている。そりゃ、不都合な過去の記憶は、関係がないと思いたいのだろうけど、関係がないと思いたいという反応をしているではないか。それに、たとえば、ある人物を自分が尊敬しているとする。それだって、過去に、その人物のエピソードを聴いたり、読んだりしたから、そのときに、尊敬したんでしょ。過去……関係あるじゃない。いまの自分にとって不都合ではない過去は、関係があるけど、自分にとって不都合な過去は関係がない……。ただ、そう思いたいだけなのではないか。それだって、いちおうは、日常生活を維持しているのだから、過去の記憶を頼りにして生きているのである。過去の記憶がなければ、なにがゴミで、なにがゴミではないか決めることができなくなってしまうんだぞ。よく、自分が食べたという記憶がなくなってしまう人が、何回も食べてしまうけど、それだって、普通なら維持されている過去の記憶がなくなってしまうから、そういう不都合が発生してるんだぞ。過去に頼り切って生きているのに、「過去なんて関係がない」と言うのはなぜか? ちゃんと、考えてみたほうがいいよ。
ダニにかんて言えば、過去において、ダニに刺されたから、いまかゆいのである。過去の出来事がちゃんと影響をあたえている。なんで、過去は関係がないんだ。なんで、「過去は現在に影響をあたえない」などと、たわけたことを言うのか?
背中全体が強烈にいたがゆいのであれば、現在の自分の気持ちに影響をあたえる。「背中全体が強烈にいたがゆい」けど、それは、自分の気持ちにまったく影響をあたえない……。そんなこと、あるか? 影響はあるよ。
ヘビメタ騒音だって、そうなんだよ。よその家には、きちがい兄貴がいないので、刺激がさったあとも、ずっと影響が続くような騒音を経験してないだけの話じゃないか。きちがい兄貴の音は、もちろん関係があるけど、きちがい兄貴の態度だって関係がある。あれは、悪いことをしていたんだぞ。道徳的に悪いことをしていた。道徳的に悪いことを、押し通した。それで俺がこまっているに、俺のことを悪者にしたてあげて、あるいは、ダメ人間にしたてあげて、道徳的にせめるような人間がいる。はっきり言ってしまえば、常識的な人間は、そういうやつばかりだ。
きちがいが悪いことをしていたのに、なぜか、常識的な人間のなかでは、俺が悪いことをしていたように、考えてしまうのだ。そりゃ、外側から見れば、遅刻をしたり、宿題を忘れたりした。さらに、十数年毎日、きちがいヘビメタをやられたあとは働くべき年齢なのに、働いてなかった。そうなると、俺が、常識的な人間のなかで、悪者になってしまうのだ。働かないやつは悪いやつだと考えるやつは、俺のことを、悪いやつだと考える。理由なんて、関係がないということになる。過去なんて関係がないということになる。すべては自己責任なので、すべてはエイリさんの責任だということになる。そいつのなかでは、そういうことになってしまう。俺が、通勤して働くことはできないと言っても、俺のおなじぶんだけ、自分が、この世で一番嫌いな騒音を毎日、聞かされ続けた経験がないやつは、その影響を過小評価して、働けるのに働かないと判断してしまう。こういうことの繰り返しで、いいわけがないだろ。きちがい兄貴が正常な兄貴だったら、自分がどれだけでかい音で鳴らしているかわかるんだよ。そんなの、こっちが説明しなくたって、聴覚が正常なら、わかるんだよ。無意識てなレベルで感覚器を書き換えてしまうような気ちがいでなければ、こっちが、「でかい音で鳴らしている」と言わなくても、わかることなんだよ。けど、きちがいだから……自分がやりたい音で鳴らしたいから……そこをまげて、わからなくなってしまう。しかも、わからなくさせているの自分なのに、自分でわからなくさせているということも、わからないままだ。きちがい兄貴が、きちがい兄貴ではなく、正常な兄貴なら、言わなくてもわかることなんだよ。そして、常識的な人間の家族は、きちがい兄貴みたいなことをしない家族なんだよ。
きちがい家族にやられてないやつが「そんなのは関係がない」と言ったって、関係があるんだよ。
きちがい兄貴がやったことは、道徳的に言って悪いことなんだよ。強烈に悪いことなんだよ。道徳的に、大きな悪いことをしたんだよ。ところが、きちがい兄貴が十数年にわたって、毎日毎日、何時間も何時間も何時間も何時間も何時間も何時間も何時間も何時間も何時間も何時間も何時間も何時間もやりきった、悪いことは無視して、俺が働いていないという悪くはないことを、せめる。これがどういうことなのかわかるか?
俺が働いていないということは、よいことでもないかもしれないけど、悪いことではない。働けないから働けないと言っている。まあ、当時「通勤して働けない」から「通勤して働けない」と言ったわけだけどな。それに対する反応が、きちがい兄貴の大きな悪行は無視して、きちがい兄貴の悪行の結果、働けなくなった俺を、せめるという反応だ。きちがい兄貴の、大きな、大きな、悪行は、ガン無視して、俺が悪いことをしていないのに、俺が悪いことをしているかのように勝手に考えて、兄貴ではなくて、俺をせめるということをした。常識的な人の大半がそういう人間だった。これがどういうことなのかわかるか?