べつに努力をしたい人は、努力をすればいい。それは、価値があることだと思う。問題は、そこじゃない。問題は、そこじゃないんだ。
実際には、条件にちがいがあるのだから、条件を無視していいわけがないということだ。
たとえば、「努力をすれば成功する」という文だけど、いままで説明したように、まちがっている。けど、まちがっていることが、「正しいこと」として流通している。
この社会は、大きな権力によって、支配されている。
そして、その権力がつくりだした妄想がある。
この妄想を信じてしまうと、じつは、社会的には、まずいことになる。ぼくが言いたいのは、そういうことだ。
条件を無視するということが、見えないトリックとして機能しているのだ。これは、ひっかけだ。「努力をすれば成功する」という一見よさそうに見える文が、どうして社会の悪を生産してしまうのか、普通の人は、ぜんぜんわからない。
個人的な対処としては、まず、条件にちがいがあるということを認めることだ。人によって条件がちがう。社会は、条件のちがいを積極的に無視している。そういうことを、認識するだけでいい。