きちがい兄貴というのがブラックホールなんだよ。あるいは、きちがい兄貴というのが、そもそも、存在しないものなんだよ。
だから、きちがい兄貴がやったことによってしょうじたこと、すべてを理解できない。だって、そいつらのまわりには、そういうことをやる人間がいないから。ずっとずっと、執着して、毎日毎日、何時間も何時間も、そういうことをやる人間がいないから……。
そういうことをやる人間が「この世にいない」という設定でもの言っているんだよ。むりなものはむりなんだよ。そして、兄貴のきちがい行為によって、能力がなくなったんだよ。
ぼくの人生というのは、たとえるなら、ほんとうは八メートルとべるのに、きちがい家族の行為によって、からだをだめにされて、どれだけがぱっても一メールしか飛べないからだになったやつの人生んなんだよ。
がんばってがんばって、やっと一メートルとべるようになったんだよ。
ほんとうは、六〇センチなのに、努力をして努力をして、一メートルとべるようになったんだよ。
きちがい兄貴の行為というのは、毒で、跳躍能力を制限するものだ。
ようするに、毎日毎日、毒をばらまいて、ぼくの跳躍能力をうばったのだ。
けど、世間には、そういう家族がいないのである。世間の人には、そういう家族が「げんに」いないのである。なので、そんなのは、想像上の生き物なんだよ。
「そんなことをする人はいない」と思っている世界で暮らしているんだよ。そうなるとどうなるか? 自分は、三メートルしか飛べないのに、「努力をすれば三メートル、とべるようになる」と説教をしはじめるんだよ。俺はほんとうは八メートルとべるわけだから、こんなやつに説教をされなくていい人生だったんだよ。
「そうなる」ということを無視する。
こいつらは、「そうなる」ということを無視する。
だれでも、おなじことをされたら六〇センチしか飛べくなるのに、それを理解せず、最初から、俺が六〇センチしかとべないやつだと思って、えらそうなことを言ってくる。