自分というのが、他人にいれかわっているのである。「自己責任」といった場合の自己というのが、ある人にとって他人の自己をあらわしているのである。
これが、自己責任論の根底にある詐欺部分だ。
これは、トリックなんだよ。
かならず、他人の「自己」にスライドすることになる。「自己」というのが、自分の自己ではなくて、他人の自己を表現していることになるのである。
ところが、他人の自己を表現しているとことに、特に気がつかなくてもいいことになっているのである。
本人と他人というのであれば、自己責任論というのは、本来は、本人の自己責任なのである。なので、「すべては自己責任」といった場合は、なにが起こっても、本人の自己責任なのである。他人が不幸な目にあっても、本人の自己責任なのである。
ところが、他人が不幸な目にあった場合は、他人の自己責任だということになってしまうのである。他人にとって「自己」というのは、他人自身なので、そうなる。ここに、トリックがある。