「できると言えばできる」と「努力すればできる」と「できると言って努力すればできる」は、それぞれちがうことなんだよ。
ところが、言霊主義者の頭のなかでは、おなじことになっているのである。「できると言えばできる」……この場合、「できる」と言えば言っただけで、努力なんかしなくても、できるようになるんだよ。
「努力すればできる」……この場合は、言霊とは関係がないことなんだよ。言霊の力でできるようになるわけではないんだよ。
「できると言って努力すればできる」……この場合は、できると言うことと、努力をするということを両方しなければ、できるようにならないということだ。
「できると言えばできる」という言霊理論の場合、ほんとうに、言っただけでできるようになるのである。努力なんてまったくまったく、必要がない。
「努力しなければ、どれだけできると言ったって、できるようにならない」と言うのであれば、「どれだけできると言ったって、できるようにはならない」ということを言っているということになるのである。
ようするに、「どれだけできると言ったって、努力しなければ、できるようにならない」と言っているのだから、言霊のすごい力を、否定していることになる。
「言ったって、言っただけじゃ、できるようにならない」「言ったって、言っただけじゃ、効果がない」という意味のことを言っているのだ。
言霊主義者なのに「努力をしないと、どれだけ言ったって、現実化しない」ということを言っているのである。「どれだけ言ったって、現実化しない」のだから、「言霊のすごい力はない」と言っているのとおなじなのである。「言葉には、言葉の内容を現実化させるようなすごい力は宿ってない」と言っているのとおなじなのである。
宿っているなら、言っただけで、できるようになる。ほかの要素は必要がない。言っただけで、そうなる。言っただけで、言葉の内容通りになる。言っただけで、言葉の内容通りにならないのであれば、その理論がまちがっているということだ。