言霊主義者だって、ころんだあと、いたいと言っている。いたいと言ったから、ころんでいたくなったわけではない。
ところが、言霊主義者の場合、ひとごとだと、「いたいと言うからいたくなる」と言い出すわけである。「いたいと言わなければ、いたくない。楽しいと言えば、楽しくなる。だから、いたいと言わないで、楽しいと言えばいい」と、ほかの人には言うのである。
イタイイタイ病の人だって、最初から、「いたいいたい」と言っていたわけではなくて、問題となる物質が体の中に入って、その物質が体を構成する物質に反応したから、「いたいいたい」と言いたくなる状態になったのである。
そういうことを無視して、「いたいいたい」と言うからいたくなると、言霊主義者は言ってしまう。「から」じゃないのである。「原因」について考え違いをしているのである。
イタイイタイ病の場合、問題となる物質はカドミウムだ。
言霊主義者は、「いたい」と言うことが原因でいたくなっていると言うけど、この場合は、「カドミウム」がはいった作物を食べてしまったことが原因で、いたくなっている。原因がちがう。
そういう原因を無視して、勝手に「言ったから」と言って、ほかの人をせめることはいいことではない。
けど、言霊主義者は「言ったことが現実化する」「言霊は正しい」と言って、認めないのである。
* * *
ぼくが、眠れないとき、「眠れる」と言っても、眠れなかった。
「一秒後に眠れる」と言っても、一秒後、起きていた。 眠れなかった。眠れない原因は、きちがいヘビメタを長時間、あびたからだ。「眠れない」と言ったからじゃない。
ところで、常識的な人はぜんぜん理解しないのだけど、きちがい的なヘビメタ騒音を、がんがんがんがん長時間あびて眠れなくなっているとき、どういう状態かというと、ものすごくつらい状態なんだよ。
眠れないと言ったけど、つかれはてている。死にたいぐらいに、つかれている。つかれてないから、眠れないわけではないのだ。
鳴っている時間、ずっと、腹がたって、緊張状態だった。そういう原因がある。ちなみに、きちがいヘビメタが鳴ってない期間においても……つまり、ヘビメタ騒音がはじまる前の期間も……つまり、一一(じゅういち)歳になるまえも……「なんとなく眠れない」という状態があった。
けど、ヘビメタ騒音をあびたあと、眠れなくなるのと、ほかのときに眠れないのとでは、ぜんぜんちがうんだよ。ヘビメタ騒音をあびたあとの時間というのが、どれだけつらいものか、ぜんぜんわかってないやつらが、適当なことを言う。
不適切なことを言う。
「鳴りやめ」と言っても、鳴りやまなかった。「眠れる」と言っても、眠れなかった。「鳴りやめ」と言っても、鳴りやまず、「眠れる」と言っても、眠れなかったのだから、言霊的解決方法は「カス」だ。
カスをおしつけるな。カス方法をさも有効であるように、言うな。
「自分は、言ったら、そうなった」と言霊主義者は言うけど、それは、ちがうことだろ。そして、ほぼすべての場合において「言ったあと」と「言ったから」を混同しているのである。
「眠れなくてつらい」と言っても「つらい」の「つらさ」がちがうんだよ。
異次元のつらさだ。
異質なつらさだ。
あんなの、毎日経験して、いいわけがない。体に異常が生じないわけがない。能力がさがらないわけがない。気分が落ち込まないわけがない。つまり、憂鬱にならないわけがない。ぼんやりして注意力がない状態にならないわけがない。これ、一日のなかで、ヘビメタ騒音が鳴ってない状態でも、からだがだるくて、能力がさがって、ぼんやりして注意力がない状態で、気分が落ち込んだ状態になるのである。不可避的にそうなる。けど、言霊主義者や常識的な人は、そういうことを認めない。「鳴っているときだけ」影響があると思っている。鳴ってないときに影響があるといえば、そんなのは、あまえだと言ってくる。「あまえだ」と言ってくるやつらには、きちがい家族がいないのである。
騒音をでかい音で鳴らすことにこだわって、こだわって、こだわって、こだわって、そうする家族がいないのである。
だから、きちがい家族が、ことにこだわって、こだわって、こだわって、こだわって、とてつもなくでかい音で、何時間も何時間も騒音を鳴らすということ経験してない。毎日経験してない。
普通の人……普通の家族は、「そういう音で鳴らすと迷惑だから鳴らさないようにしよう」と思って、鳴らさないのである。
これ、ほんとうに、非常識な音で鳴らしていた。
ヘビメタが好きな、兄貴の友達が「こんな音で鳴らしたことがない」と言うような音で鳴らしていた。常にそうなんだよ。最大限にゆずったって、普通の人が鳴らさないような音で鳴らしているんだよ。これが、きちがい感覚なんだよ。
きちがい親父とおなじで、ゆずってないのに、「ゆずったゆずった」と言い出す。すべてがこの調子だ。「言えば、しずかにしてくれる」と普通の人は言うけど、どれだけ「しずかにしてくれ」と言っても、しずかにしてくれなかった。
こっちが、事実だ。こっちが、現実だ。
「しずかにしてくれ」と言われても、きちがい兄貴は、絶対の意地で鳴らして、一秒もしずかにしなった。これが、現実だ。こっちが現実。
かってに「しずかにしてと言えば、しずかにしてくれるのだから、しずかにしてと言えばよかったのに、言わなかったら、だめなんだ」と言って、人を悪者にしたてあげるな。
常識的な人は、常識的な人で、常に、きちがい家族に関するいろいろなことについて、まちがった判断をしている。
しかも、常識的な人は常識的な人で、まちがった判断をしたということを、認めないのである。こっちが、説明して認めない。しかも、言霊主義者じゃないけど、意地になって認めないところがある。
きちがい家族と一緒に住んでいると、言霊主義者との関係だけではなく、常識的な人との関係も、険悪なものになる。