この文は、公開してしまった文よりも、はやい段階で書かれたもので、順序が入れかわかっている……のだけど、まあ、公開しておく。
+++++++
「明るいことを考えれば、明るいことが起こり、暗いことを考えると暗いことが起こる」と考えている人は、「為政者」という項目について考えないとだめだ。
「為政者」という項目が、すっかりぬけて落ちているのである。
とりあえず、「明るいことを考えれば、明るいことが起こり、暗いことを考えると暗いことが起こる」と考える人のことを「明るい思霊論者」と呼んでおこう。「明るい思霊論者」の頭の中から、「悪い為政者」という項目がすっかりぬけおちている。
ところが、悪い為政者がいる場合があるのである。悪い為政者がいる場合は、明るいことを考えても、暗いことが起こることになるので、明るいことを考えてもむだだ。
むしろ、庶民の側が、根拠もなくぽやーっと明るいことを考えている状態というのは、悪い為政者にとって、「特別に」やりやすい状態だ。「明るいことを考えればいい」と言って、暗いことが起こる確率をあげている。「明るいことを考えればいい」と言って、悪いことが起こるようにしている。
まあ、悪いことが起こりやすいようにしていると、弱めに言っておくかな。
以前書いた記事のなかで説明しなかったことについてちょっとだけ説明しておこう。
それは、ひとりの人が思うだけで、「世界」がかわってしまうということだ。そういうパワーをひとりの人……個人個人がもっているという前提でものを話しているということだ。
言霊とおなじように、「○○さんが生き返る」と思っても、生き返らない。
「思うこと」に現実をかえるパワーはない。
そして、たとえば、言霊主義者が、朝のニュースで起こったことを知るように、思霊論者も「思ったことが現実化する」と思っているのに、朝のニュースで起こったことを知るのだ。起こったことは、自分が事前に考えてなければならないことなのだ……ほんとうの思霊論者の意見にしたがえば……。
これは、いろいろと言いにくい部分を含んでいる。思霊論者の言っていることが、その時々によってちがうからだ。これは、言霊論者が言っていることが、その時々によってちがうということとおなじだ。
ひとりの人の「思い」が世界をガラっと変えてしまうパワーがあるという前提で話したり、ひとりひとりの「思い」には、世界をガラっと変えてしまうパワーがないという前提で話したりすることがある。
ひとりの人の思い……たとえば、自分の思いが世界に反映するなら、自分一人が思っただけで、自分の明るい思いが世界に反映するはずなのである。
もし、「自分ひとりの思いにはそんなパワーはなく、多くの人が、おなじようなことを思わなければ、思いが世界に反映しない」と言うのであれば、最初から、自分ひとりの「思いのパワーが」世界をかえるというようなことを言うべきではない。
自分の思いが世界の現実を変えるのであれば、もちろん、ひとりで変えてしまうことができるのである。自分と世界が対応していて、自分の思いにあわせて、世界がガラッと変わるということを言っているわけだから、「あなたも、こういう明るいことを考えましょう」という必要はまったくない。
だいたい、自分対世界なのであれば、自分の思いが、そのまま世界に反映する(反応する)わけだから、相手のことも、自分の思い通りにできるのである。相手が考えていることも、自分の「想像」一発で、思い通りにできるのである。
たとえば、明日は、雨になると思えば、雨になるのである。明日、この国とあの国が戦争をすると思えば、この国とあの国が戦争をするのである。思ったことが現実化するのだからそうなる。その場合、「自分」というのは、特別な存在なのである。
まあ、神のような存在なのである。これは、幼児的万能感がなせるわざだ。みんな、じつは、そういう幼児期をへて、大人になっている。なので、幼児期の影響が残っているのである。
自分が特別な存在で、自分と世界が対峙しているのである。あるいは、自分と宇宙全体が対峙しているのである。自分の思いが、宇宙のありかたに影響をあたえるのである。その影響は、思っただけで、宇宙の全体をかえてしまうほど、強い影響なのだ。
なのであれば、もちろん、多数の他人が、おなじように、明るいことを考えなければならない……と考えるのはおかしい。この、明るいことの内容は、自分とおなじような明るいことなのである。自分が思っているのとおなじような思いをもてばいいということになる。
その場合、自分とはちがう「暗い考え」をもっている人が、じゃまになるのである。
人間とは不思議なもので、明るい考えをもっているつもりなのに「暗い考えをもっているやつが邪魔だ」と暗い考えをもってしまうのである。「暗い考えをもっているやつのせいで、現実が暗くなる」と思ってしまうのだ。大きな、勘違いだ。こういう、幼児的万能感氏に配された幼稚なやつが、「不満不平禁止」「ネガティブ発言禁止」と言って、とても、暗い状態をつくってしまう。あるいは、とても、危険な状態をつくってしまう。
こいつらは、明るいふりをしているけど、ほかの人の「発言する権利」をおびやかすような暗い発言をしている。
* * *
「不満不平禁止」「ネガティブ発言禁止」と言って、「このままでは危険だ」ということを言おうとしている人の、口をふさごうとするな。