名前だけ店長の言うことを無視して、名前だけ店長に言霊的な提案をして、さらに、がんばらせようとするブラック社長は悪いやつなんだよ。道義的にも、法律的にも……。
けど、ブラック社長とおなじようなことを言う、言霊主義者は、こころのなかで、ブラック社長を尊敬していたりする。「すごい」と思っていたりする。「目のつけどころがちがう」「発想がちがう」と崇拝していたりする。
そして、名前だけ店長のたいへんさを無視して、まったく有効ではない、言霊的な解決方法をつかって、説教をする。その説教の方向は、ブラック社長とおなじように、がんばらせる方向だ。
言霊的な助言をする凡人とブラック社長は、「名前だけ店長のたいへんさ」を無視するところでおなじ。「そんなのは、できることなんだ」という前提でものを言っている。
けど、この前提がまちがっている。言霊的な助言をする凡人とブラック社長が、名前だけ店長さんとおなじことをできるか?
能力不足でできないよ。名前だけ店長さんは、できる人なんだぞ。できる人が、どれだけやったって、どうしても、睡眠時間が二時間になるという生活をしている。それも、一か月や二か月の話じゃない。これが、おかしいとどうして思わないんだ?
一五年間にわたって、毎日、そういう生活をしてきた。こんなにがんばっている人に、「もっとがんばればいい」「できると言えばできる」と言ってしまう。こんなのはない。
「もうだめだ」と思って、普通の仕事量にしてくれと交渉しているのに、そんなことを言われたとき、どう思うか?
ブラック社長がそんなことは気にしないのはわかる。
けど、普通の人たちが、ブラック社長とおなじように、まったく気にしないんだよな。そして、「俺だってたいへんな思いをした」と言って、正当化してしまう。
言っておくけど、言霊的な助言ができるのだから、たいした、苦労はしてない。
言霊的な助言できる人よりも、名前だけ店長のほうが、たいへんな思いをしている。名前だけ店長のほうがつらい思いをしている。
それを、「俺だってたいへんな思いをした」というひとことで、くつがえして、ブラック社長とおなじことを言う。そういうことを言う時点で、名前だけ店長のたいへんさについて、見積もりちがいをしているんだよ。
最後の最後まで気がつかない。
言霊的な助言なんて口がさけても言えなくなるぐらいに、苦労しているんだよ。
言霊的な助言を人に言える時点で、たいした苦労はしてない。
それが、わかる。
言霊的な解決法なんてまるで役に立たないということの連続だからな。言霊なんて使ったって、くるしいことがつみかさなるだけだ。だから、「体が思うように動かない」と言っているんだろ。そういうことも、わからない、やつら。