あーあ、ヘビメタ騒音でかっこう悪かったなぁ。
ヘビメタ騒音で……。
これ、ヘビメタ騒音がなかった人には関係がない話で、まったくわからないと思う。ヘビメタが好きなやつなら、なおさらわからないと思う。
けど、あの音のでかさで、自分が、この世で、一番きらいな音がずっと鳴っているということを経験すればわかると思う。
そして、鳴らしている人間が、精神に問題がある家族なのだ。精神と言ったけど、ようするに、現実認識に問題がある家族なのだ。
「やったってやってない」「でかい音だってでかい音じゃない」ということになっている……。そいつの頭のなかでは、そういうことになっている。そういうことでしかない。だから、つねに「やってないつもり」で生活している。俺に対する態度が、そういうことをまったくやってないときの態度なのだ。
これは、めちゃくちゃに傷つく部分だ。これは、めちゃくちゃに腹が立つ部分だ。
これも、きちがい兄貴が意図してやったことじゃないけど、あれだけ頑固に常にやっていることを(本人が、意識的に、無意識的に認めていない場合)は、きちがい兄貴の発言が、普通なら特に、傷つけるような発言ではない発言だとしても、傷つくのである。きちがい兄貴だって、きちがい親父のそういう発言で傷ついていた。腹をたてていた。
きちがい親父は、きちがい親父で、やっぱり「やったってやってない」ということを、繰り返していた。そういう脳みそなのである。
ハンダゴテ事件は、きちがい兄貴ときちがい親父のあいだで起こった事件であって、ぼくときちがい親父のあいだで起こった事件じゃない。
けど、たった一つの事件で、きちがい兄貴の気持ちは、めちゃくちゃになっているのである。
で、きちがい兄貴は、たった一分間のヘビメタ騒音で、ぼくの気持ちをめちゃくちゃにしている。きちがい兄貴に言っておく。きちがい兄貴のヘビメタ騒音・一分間で、きちがい親父のハンダゴテ事件全体・一件とおなじぶん量のダメージを、こころとからだにあたえている。
やられたほうのこころとからだは、不可避的にダメージをうけている。
一日に七〇〇分間、鳴らしたときは、一日だけで、ハンダゴテ事件全体の怒りと不愉快の七〇〇倍の怒りと不愉快を経験している。この文章は、きちがい兄貴向けの文章なんだけど……。ほんとう、きちがい兄貴、おまえ、親父にやられたことはわかるのに、自分が弟にやったことは、親父とおなじでまったくわかってないな。
何万時間やったって、ゼロだと思っている。
きちがい兄貴、おまえ、親父にやられて怒ったことがあったけど、毎日毎日、親父の数百倍のことを、俺にやっている。鳴らし続けるということでやっている。騒音攻撃を絶対にやめないでやり続けるということで、親父が兄貴にやった行為とおなじ意味を持つ行為を俺(弟)にしている。
きちがい兄貴のやり方と、きちがい親父のやり方が、そっくりおなじなんだよ。
人間のこころをもっていれば、きちがい親父にやられてくやしい思いをしたなら、きちがい親父みたいな行為を人にするのはやめようと思うもんなんだよ。
けど、きちがいおやじとおなじ脳みそを搭載しているから、きちがい親父とまったく同じように、まったくなにもやってないつもりになってしまう。
「言われれば」きちがい的におこって、顔を真っ赤にしてやり続けるけど……やりきることができれば、ゼロになってしまう。やってないのと、完全におなじなのである。
このしくみが、きちがい兄貴ときちがい親父でおなじなんだよ。
だから、こまるんだよ。
一家に、ふたりいる。ふつうなら、いたって、ひとりだ。ふたりいるということが、そとの人から見えない。そうすると、そとの人というのは、常に、まとはずれな発言をするようになってしまうのである。