「過去なんて関係がない」と人に言っているときは、人に説教をしているときなんだよ。普段は、人を見るとき、その人の過去を見ている。こういう構造が凡人にはわからない。自覚できない。自覚できないだけだからな。
いま、かりに、もし、元・官僚のAさんと、元・短期フリータのBさんと、会社勤めをしたあと定年退職したCさんがいたとする。Cさんの、Aさんに対する態度と、CさんのBさんに対する態度はちがうのだ。どうしてかというと、CさんはAさんの過去を見てAさんに接し、Bさんの過去を見てCさんに接するからだ。
元・官僚のAさんも無職。元・短期フリーターのBさんも無職。無職であることにはかわりがない。けど、Cさんの態度に差が出る。どうしてかというと、Cさんは、相手の過去を見ているからだ。Cさんの態度は、普通の人の態度なのである。なので、普通の人は、相手の過去を見ている。「過去なんて関係がない」と思っている態度で人に接しているわけではない。「過去は関係がある」と思って人を評価し、自分のその人に対する態度を決めている。