またひとつ、やばいことを思い出した。これ、なんなんだ?思い出すな!! 思い出すな!!
俺の頭、思い出すなぁ! 忘れてたんだから、忘れたままにしろ。
なんで、急に思い出すかな?
もう、何十年も前のことなのに……。
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「そういえば」という感じで、昨日も、超・小さいことを思い出してしまった。小さいことなんだけど、これも、いい思い出ではない。「親切にする」ということについて考えていたら、連想的に思い出してしまった。もう、三十五年ぐらい前のことだ。めちゃくちゃに小さなことだから内容は書かないけど、ほんとうにまったく思い出さなかったことなんだよね。なんで、何十年も前のことを、突然、思い出すかなぁ。まあ、連想というのはあるんだよ。ぼくの場合、「連想の距離」が相当に長いものも思い出してしまう。関連度で言えば、小さい関連度しかないんだよな。距離があるんだよな。距離があるのに思い出してしまうんだよな。あーー、こまった。この、超・小さな思い出も、いい思い出とは言いがたいので、忘れたままのほうがよかったのに、思い出してしまった。これは、きつい。
何回も思い出す、わりとでかいこともあるんだよな。うーん。全部もちろん、「ひとがらみ」さ。失敗はある。あのときの、あの場面にもどって、あやまりたいという気持がある。これ、みんな、どうなんだろうな。そんなにでかくないことでも、何十年もたっていることなのに、思い出すってことがあるのかな。しかも、みんな、そんなにいい記憶じゃないんだよな。いい記憶もあるけど、基本的に、長期ヘビメタ騒音で暗い気持ちなので、いいことをしたあとも……親切にしてあげて、相手も喜んだあとも……家に帰るときは、つらくて暗い気持ちになっているんだよ。これ、いいことをしたあとの「すごくさみしい気持ち」ってわかる? 人に親切にしてあげたあとの、すーーっと消えていく、「よかったね」という感じと、すーーっとよみがえる、うちの、暗い感じ。わかるかな。
『人に親切にするとしあわせになる』というようなことを言う人がいるんだけど、そういうことにはならないんだよな。これが、また、そういうことを言っている人にはわからないことなんだよな。どうしてかというと、その人が、めぐまれた家に住んでいたから。めぐまれた人生を歩んでいるから。きちがい家族が、きちがいヘビメタ騒音を、どれだけこっちがやめろと言っても、ずっっずっとずっとずっと、一日中、鳴らしている「うち」にいたわけじゃないから。そういう家族と一緒に二十一年ぐらい、いっしょに毎日暮らしていたわけではないから。そりゃ、人に親切にしてあげて、その親切にされた人がよろこんでくれれば、一時的にはうれしい気持ちになる。けど、ぼくがつらかったのは、人に親切にしなかったからではないのだ。ヘビメタ騒音でつらかった。もっと前の時期なら、きちがい親父のきちがい行為でつらかった。そりゃ、親切にしてあげて「ああっ、よかったね」と思う気持もあるけれども、「うちに帰ったら、あのヘビメタ騒音が鳴っている」と思うと、思っただけで、すーーーっと、うれしい気持ちが消えて、暗い気持ちになってしまう。ぼくが、不幸なのは、人に親切にしてあげなかったからではなくて、きちがいヘビメタ騒音が、鳴っていたからだ。どれだけ「やめてくれ!!やめてくれ」と兄貴の部屋に行って、絶叫しても、ぜんぜん、(兄貴が)やめてくれなかったからだ。ほんとうに、眠れなくなるから、次の日もくるしいのだ。あのくるしさと、いったらない。きちがい兄貴は気ちがいなので、朝も鳴らしていたときがある。朝、ものをそろえようとしているときに、あの音が鳴っていると、発狂状態で、殺したくなるし、自殺したくなるのである。ものが見つからないと、パニックになるのである。ものが見つからなくても、ものが見つかっても、きちがいヘビメタがガンガンガンンガガンガガガガン鳴っているから、パニックなのだ。前日、ヘビメタ騒音のせいで、宿題を終えることができないから、ものをそろえてから眠るということができない。実際に四六時中、ヘビメタ騒音にたたられていない場合は、「こうしたらいい」「ああしたらいい」ということが言えるのだけど、それが、できないのだ。絶対的にできない。けど、そういうふうにアドバイスをしている人に(あるいは、した人に)「これこれ、こういう理由でできない」と言っても、案外、認めなかったりする。そもそも、小学六年生のときから、毎日ヘビメタにやられている。そういう生活が続いている。極限状態での生活だ。そういう生活のなかで、できることじゃないのだ。帰ってから眠って、ヘビメタが鳴ってないときに起きて、勉強すればいいというようなことを言った人がいるのだけど、ヘビメタ騒音が鳴っているので、眠ることができないのだ。どれだけつかれていても、ヘビメタ騒音のなかで眠ることができない。ぼくの部屋ではできない。おかあさんの部屋だと、眠れるのだけど、俺がおかあさんの布団を占領すると、おかあさんが横になって休むことができなくなってしまうのだ。おやじうちなのだけど、おかあさんの部屋と、ぼくの部屋では、音圧、音のでかさがちがう。ちがうんだ。(実は、一日だけ、気絶をするように、きちがいヘビメタが鳴っている、ぼくの部屋で眠ってしまったことがあるのだけど、起きたあと、猛烈にやばい状態になった。もう、三十九度ぐらい熱がでて、はきそうな状態とおなじ状態になった。そのからだの状態は、熱がでてダメな状態とはちがう、ダメさがあるのである。これが、異常な感じでくるしいのである。ほんとうに、頭にダメージをうけたようなだるさなのである。
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