ほーーんと、つまんない。
なにをやるにして憂鬱だ。つまり、賃貸を借りるにしろ、中古マンションを買うにしろ憂鬱だ。どうにもならないほど憂鬱だ。もう、やっぱり、むりかな。俺は、よくやってきたよな。あんな状態で、暮らしたなぁ。俺だから生きていられる。ほかのやつだったら死んでたな。ヘビメタ騒音一年目で自殺だよ。俺が、自分の生命にどれだけこだわっているか。普通の人とは比べ物にならないほどのこだわりがあるから、生きている。ヘビメタ騒音をずっと鳴らされたけど生きている。けど、限界はある。無傷じゃない。影響がある。過去のことになれば、影響がなくなるかというとそうではない。佐藤のような凡人が……想像力がない凡人が……ヘビメタ騒音の影響を過小評価しやがるんだよ。ヘビメタ騒音をやられてない人は、あれがどれだけ、日常生活に影響をあたえるかわかってない。
一日のなかで、どれだけ破壊的な影響をあたえるかわかってないな。きちがい兄貴は、鳴らしている張本人なんだけど、完全な部外者なんだよ。どれだけ言っても、一切合切かかわりがない人間として、自分のことを認知しているんだよ。頭が正常ならこんなことはありえない。けど、ずっとそうなんだよ。そして、そういう頭であることが、かわらない。どれだけ言ったって、注意したって、訴えたって、まるで、かわらないのだ。やってない人として、部外者として、やり続ける。かかわっている気持ちが、ない。けど、めちゃくちゃな意地があるんだよ。このやりかだきちがい親父とおなじなんだよ。きちがい兄貴は……。
佐藤はヘビメタを鳴らした張本人だから、ヘビメタのことは関係がないと言えば関係がない。けど、佐藤以上に、きちがい兄貴は、関係がないと思っているんだよ。ヘビメタ騒音と関係がないと思っている。ヘビメタ騒音から生まれる俺の不調と自分のヘビメタ騒音が関係、ないと思っている。こういうところが、きちがいなんだよ。で、このきちがいの度合いも、このきちがいのありさまも、ほかの人にはわからないんだよな。そして、そういう状態で、こっちのことを無視して暮らしてきた……絶対の意地で鳴らしてきたということが、ほんとうに、きちがい兄貴はわかってない。だから、いつも、とんちんかんなことを言う。当事者なんだよ。張本人なんだよ。鳴らしている人間なんだよ。それが……。それが……。
異常な毎日が、まったく普通の日として、流れて行く……。どれだけつらいか。ようやっと立っているようなものなんだぞ。ほんとうに……。
ヘビメタ騒音でめちゃくちゃに能力をさげられて暮らしているので、くるしい。もう、何十年間もずっとそうだ。こんなの、ない。ヘビメタ騒音がどういうものか、ほんとうにまるでわかってないな。きちがい兄貴も、きちがい兄貴以外の人も。