『生まれの格差』と『地合いが黒であるということ』を無視している人たちがいる。この人たちが言っていることは、どれだけ道徳的なことであっても、非道徳的なことだ。無視をしてはいけないのである。この人たちは、子どもの頃の影響を無視する。『地合いが黒である』世の中で『生まれの格差・上』だった人は、自分の実力で自分の地位を得たと思い込みたいところがある。そうなると、生まれの格差を無視することになるのである。また、生まれの格差を認めた場合でも、少しはあるけど、大人になったら関係がないというような言い方をする。ようするに、『影響の過小評価』だ。
ポジティブ思考、認知療法、アドラー心理学、行動主義心理学……こういうものを信じている人は、公平だという立場で、子供時代の影響を無視する。あるいは、子ども時代の影響を過小評価する。ぜんぜん公平じゃない。『過去の出来事』の影響を無視したいのである。『過去の環境の格差』を無視したいのである。