むかしは、夢だけはあったな。夢だけは……。夢だけあってもしかたがない。押しつぶされそうな現実と夢のあいだで、どれだけもがいたか? どれだけ、切羽詰まった時間をすごしたか?
ヘビメタ騒音でひきつっている。感覚も記憶も、ひきつっている。どれだけ、自分を鼓舞してもヘビメタが鳴っていると、どうしても、どうしても、勉強することができない。
しかも、なにもやってないのに、つかれてしまう。勉強してないのにつかれてしまうのである。どれだけ、つかれるか?
ヘビメタのつかれが、普通のつかれじゃないんだよな。これ、ほかのやつらは、普通のつかれだと思っているわけでしょ。自分が普通に経験しているつかれとおなじつかれを経験したんだと思っているわけでしょ。ちがうんだよ。
これも、どれだけ、つかれの種類がちがうと言っても、ヘビメタ騒音のつかれを経験した人じゃないとわからない。ヘビメタ騒音のつかれが、日曜日も含めて、何千日もずっと続くということを経験した人じゃないとわからない。
そんな人、あったことがない。
だから、全員、わからない。
わからないのに、自分のつかれを基準して、「わかったようなこと」を言う。わかったようなことを!!!
で、わかったようなことを言う人たちが主流だ。わかったようなことを言う人たちの理論が正しいと思われているような世の中だ。
多数派が、ヘビメタ騒音独自のつかれを理解せずに、「だれだって、つかれている」「みんな、つかれに負けないでがんばっている」というようなことを言う。
ちがうと言っているだろ。
まあ、わかるわけがないか。
ちがうんだよ。
わかるわけがないか。
「ちがう」と言っているだろ。
佐藤! おまえ、自分の基準で俺のことをばかにしたな。みくだしたな。佐藤さんは、死ぬまで一生、いやな職場で、いやな仕事をするべきだ。どれだけつかれたって、死ぬまで、底辺の奴隷工場で働くべきだ。……死ぬまで。死ぬまで!!
死ぬまで!!
「ベッドの上で、休むなよ!!!!!」。