「そんなとこ、人の住むところじゃない」とか思っているんだろうな。
せーーかい。せーーかいです。
親父・ネズミ・ダニ事件が、ほんとーーに、親父が俺にやってきたことを象徴している。俺が生まれるまえからこうなんだよな。どうして、生まれる前のことを知っているかというと、おかあさんが、教えてくれた。親父が俺にやってきたことというのは、ほんとうに、こういうことなんだよ。
けっきょく、俺がネズミの糞を処理しなければならない。粗大ごみ回収業者の人に、ネズミの糞がちらばっているけどいいですか」ということを訊いて、スリッパを用意してきてくださいというようなことを言わなければならなかった。けっきょく、土足で上がったけどな。けど、これは、文句を言う気になれないというか、あの人たち、よくやってくれたよなとしか思わない。バルサンをやったのだけど、どうも、効きがあまかったみたいで、たぶん、あの人たちも、ダニに刺された。で、親父の部屋に、毛の長いじゅうたんマットみたいなものがあるんだよ。あれが、ほんとうに、ぼろっぼろなんだよ。回収業者の人が、思わず「これは、いじりたくないなぁ」と言っていた。もうわけない。ネズミのことを考えると、ほんとうに、病気になる可能性があるから、ほんとうに、もうしわけなく感じた。気合を入れてまるめて持って行ってもらったけど、まるめるときだって、ほこりが出る。そのほこりのなかにはダニが入っている可能性が高い。いやじゃん」。あれ、置いてほしくなかったんだよな。「そんな、ほこりが出そうなものをおくなよ」と親父に言ったこともあったんだけど、親父は、いいじゃないかというようなことを言っていた。まあ、親父の部屋だからいいんだけどさ……。いいんだけど、ネズミの侵入という事件があるとちがってくる。どうして、俺が「ネズミ対策工事しよう」と言ったら、「そうしよう」というようなこたえをかえしてくれないんだ。「捕まえるからいい」の一点張りだ。
ともかく、俺が恥をかくんだよ。俺が恥をかくの……。俺が……。