ヘビメタ騒音のことは、そんなにも、わかりにくいことなのか。……わかるわけがないよな。
わかるわけがない。
俺だってもし、自分の身の上に起こらないことだったら、同じように誤解していたかもしれない。基本、実際に自分の身の上に起こらなければ、なんべん話を聞いても、わからないことというのは、ある。
わからないよな。
けど、わからないからといって、ヘビメタ騒音の影響を無視して、自分の意見を語りだすのはどうかと思うぞ。
自分の意見というのは、「人間は働かなければならない」といったことだ。これは、バージョンが案外、限られている。
一般に、引きこもりの人や無職の人に、言いたくなるようなことだ。説教したくなるようなことだ。それは、その人にとっては、正しいことなのだろうけど、きちがいヘビメタにやられたぼくにとっては正しいことではない。
はっきり言えば、あの態度で七年間、やられ続けたら、だれだって!!……これはほんとうに、だれだって!!……通勤、通学できなくなる。
一〇〇%の人がおなじことをやられれば、通勤通学できなくなる。
言っておくけど「騒音」だからね。きちがい兄貴にとっては騒音じゃない。毎日毎日、七年間にわたってあのレベルの騒音を聞かされ続ければ、……そして、そのあいだ通学していれば、だれだって、通勤通学できなくなる。
一一(じゅういち)歳からはじまったんだけどな。ヘビメタ騒音がはじまったのは一一(じゅういち)歳のときだ。で、普通の人は、「通学できたのであれば、だいじょうぶだ」「通学していたのであれば、たいしたことはない」と思ってしまうのだけど、そうじゃないんだよ。
たえてたえて、七年間、学校に通った……これが、通勤・通学できなくなった理由だ。もう、まったく、考え違いをしている。
けど、この考えちがいをしている人たちが、俺の説明を聞いて、考え違いをただすことができるかのというと、できないと思う。どうしてなら、この人たちは、あのレベルの騒音が鳴っている毎日を経験してない。
で、うちの場合、親父と兄貴が、特殊な人なんだよ。特殊すぎて、ほかの人がわからない。「そんなひとは、いない~~」とか「そんなことはない~~」と思ってしまう。
けど、実際、そういう人はいるのぉ~~。
どれだけへんな父親か、普通の人は、わからない。どれだけ、へんな、自分勝手な、頭がおかしいあにか、普通の人はわからない。わからないんだよ。わからないところで、常識の範囲で考えて、自分の意見を言う。自分の意見というのは、共同幻想に近い意見だ。だ
から、特殊じゃない。
共同幻想に近い意見を言う人たちは、みんな!!ヘビメタ騒音の影響を過小評価している。あるいは、完全に無視している。自分だって!おなじことを経験したら、この日本で働けなくなって無職になるのに、『自分は鳴らされたって平気だ』『自分は鳴らされたって無職にはならない』という前提で、ものを言ってくる。
えらそうなんだよ。
はっきり言って、それは俺に対する侮辱だ。侮辱というなら、ほんとうに侮辱だよ。けど、侮辱しているつもりはないだろう。自分にとって正しいと思っていることを言っているだけだから。きちがい的な家族に……きちがい的な兄に……ほかの人が理解できないような態度で騒音を鳴らされると、こういうことになってしまう。
じつは、必然性がある。
けど、共同幻想にしたがって、自分の意見を言っている人は、そういう必然性に気がつかない。どうしてなら、「ヘビメタ騒音なんて、どれだけ鳴ってたって自分なら通勤通学できるから」だ。
けど、それは、やられてないから、言えること。
経験してないから言えること。
現実世界でそういうことが発生しなかったから、言えることなんだよ。
けど、俺がそういうふうに言っても、そいつらは、ぜーーぜん、認めないだろうけどな。
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