もう、まるまるたい。はぁーー。
きちがい親父が、魚を出しっぱなしにしなかったら……。
きちがい親父が、ネズミ対策工事に賛成してくれたら……。
ネズミが関心を持つ家と、関心をもたない家があるのだ。ネズミが関心をもたない家は、穴があっても、五0年間ずっと、一匹も、ネズミが入らないという状態を維持できる。しかし、酒糟がついたマグロの切り身をずっと、一日に二三(にじゅうさん)時間、皿にのせて出しておくということを、した場合、ネズミが関心を持つ家になる。一日に二三(にじゅうさん)時間、ほこりがつくのに、皿にのせて出しておくということにこだわるきちがい。絶対にやめてくれない。これ、兄貴のヘビメタ騒音とおなじなのである。一日に二三(にじゅうさん)時間ぐらい、皿にのせて出しておくというを、一日だけやっても効果はないし、そもそも、家に穴があいてなければ、ネズミは入ってこない。しかし、それをやった。だいたい、六〇日ぐらいやっている。で、ネズミが入ってくるようになった。そのあと、ネズミシートで捕まえるやり方にこだわって……。
ともかく、俺は、まるまるたい。疲弊と幸福感について考えなければならないのだ。どうして、幸福感ということを考えているときは、幸福感ばかりに目がいって「どんなにつかれていても」というような話になってしまうのか? どれだけつらいことがあっても……なんて話になる。けど、それは、もう、幸福感について話すということになっているから、そういう意見に傾く。しかし、現実の疲弊というのは、幸福感に影響を与える。何度も言うけど、繰り返しが重要なのだ。ほんとうに、「疲弊」の「疲弊」がちがう。「困難」の「困難」がちがうと言いたくなる。まあ、言ったって、ボンボンやお嬢様にはわからない。ボンボンやお嬢様が経験してきた範囲内の「疲弊」や「困難」しか考えることができないからだ。実際には、疲弊は幸福感に大きな影響をもたらす。その人の疲弊は、その人の幸福感に大きな影響をもたらす。それは、けっして、「どれだけ疲弊しても……」というような言葉ではくつがえすことができないことだ。さらに、疲弊しきった人が、ほかの人に親切にしても、幸福にはならないのである。幸福感も生じないのである。疲弊のなかで感情が削られていく。
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ダニに刺されまくり。きちがい親父がダニになって、俺を刺している。きちがい親父が……。きちがい親父が……。
まあ、きちがい親父がダニになって俺を刺しているわけではないけど、きちがい親父が残した負の遺産なんだよ。負の遺産がでかすぎる。どこまでもどこまでも続く。だいたい、俺は引っ越すと思うけど、ここにあるものを持っていくと、引っ越した先でダニが発生するかもしれない。
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ネズミの糞が転がっている家具を、業者の人に持って行ってもらったんだけど……。業者の人には感謝の言葉しかない。 業者の人もたぶんダニに刺されたと思う。バルサンをたいたいのだけど、だめだった。ひとつ失敗をしている。失敗をしなくても、重なり合ったところには、ガスがとどきにくい。それから、けっきょく、居間にも穴があったのだから、そこから、ガスが逃げてしまう。
節分で豆をまいたような状態だ。黒いネズミの糞が、いっぱいころがっている。じつは、掃除機をかけてしまった。バルサンをたいたあとなら、だいじょうぶだと、別の業者の人から聞いたことがあったので、そうしたのだけど、まずかった。ダニをまき散らしたことになった。けど、あれは、別に掃除機をいじらなくても、ダニに刺されまくると思う。もう一回、今度は、壁の穴をふさいで、バルサンをたこうと思う。風呂場もやりたかったから、風呂場のドアを開けてしまった。風呂場には通気口があるので、そこからガスが逃げたのだと思う。
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けど、ダニ対処をするにしろ、きちがい兄貴の騒音がこたえるんだよ。今もそうなんだよ。どれだけ、体調がおかしいか。睡眠障害でめちゃくちゃなんだよ。前の日の夜に起きて、業者の人に対応することになる。バルサンをたくとき、ホテルに泊まったんだけど、「俺の自制なんなんだ」と思って、死にそうになった。ほかの人にはわからないだろうけど、ヘビメタ騒音と「今日の疲労」が一直線につながっている。ヘビメタ騒音と「今日の睡眠障害」は一直線につながっている。ヘビメタ騒音と、「ネズミが出るような家に親父と住んでいなければならなかったこと」は一直線につながっている。ヘビメタ騒音、数千日の繰り返しで、働けなくなった。きちがい親父が死んでも、ネズミの進撃がとまるわけではない。これが、わかる人が少ない。俺だって、こんなのわからなかった。ネズミは、ネズミにとって重要な食べ物がなければ入ってこないのだと思った。けど、ちがう。ネズミの小便のにおい、ネズミの糞のにおいに反応しているとしか思えない。ともかく、プラスチックのパイプを食いやばって入ってくる。五〇年間、パイプを通って、床下には入れる状態でも、五〇年間、ネズミは入ってこなかった。五一年目に、きちがい親父が、餌付けをしてから、このパイプを通って床下に、ネズミが入るようになった。もともとは、ちがう穴から入っていたのだけど、ある日、ここからも入れるということをネズミが発見したのである。で、俺がこのパイプの穴の部分を、幅の広いビニールテープでふさいだのだけど、ビニールテープを破って入ってきた。で、ビニールテープを貼りなおして、まわりにパテをつけたのだけど、パイプの横を食い破って入ってきた、三角形のヒビを入れて、入ってきた。もともとあるパイプの穴ではなくて、パイプの横に穴を開けて入ってきた。