また、ネズミが出てしまったわけだけど、ほんとうに、一匹目のネズミを殺したくなかった。殺したくなかった。ネズミシートに上半身はくっついているけど、下半身はネズミシートにはついてない状態なので、後ろ足をがたがた、動かして、ネズミシートごと動いていた。まだ、元気なやつだったんだね。
で、じつは、親父が座っていた椅子とおかあさんが座っていた椅子とテーブルが置いてあった。このイスとテーブルは、親父をタンカで運び出すときに俺の救急隊員で移動したものだ。本来の位置にあるわけではない。
で、なにを言いたいかというと、ネズミシートにうまくアクセスすることができないのである。うちは、一階だけで、玄関が三つある。もともと、人に貸していたために、一軒家としては作りがおかしいのである。
で、使ってない玄関のところに、背骨を伸ばすための「ぶら下がり健康器」というのが置いてあった。その健康木のサイド側に手すりのようなものがついているのだけど、その左右の手すりの上に板を載せて、その上に、箱を載せて、箱のなかにペンチとか荷造り用テープとかドライバーを、親父が入れておいたのだ。で、この箱に入っている工具が、めちゃくちゃにきたないんだよ。あと、ぶら下がり健康器の手でつかんでぶら下がる部分に、洋服をかけておいたわけ。親父が……。