そういえば、他人の『やりたいことリスト』のなかには、豪遊とか高級車を買うとかそういうのがあったなぁ。
こんなつまらな気持ちで、豪遊をしたっておもしろくない。けっきょく、親友のダイヤ君と本屋や映画館に行ってた頃が一番おもしろかったのか。あのとき、ヘビメタ騒音時代なんだよね。けど、人付き合いはまだ、汚染されてなかった。豪遊するなら、親友とやりたいね。あーあ。長期騒音のことでもめて、絶交だよ。あーあ。さみしいね。長期騒音の音源って、兄のステレオと兄のエレキギターだから。こんなのない。
長期騒音の音源がきちがい兄貴。
長期騒音の音源が家族。
こんなの、考えられない。普通の人は、どうしたって「言えばいい」と思ってしまう。言ったよ。
* * *
かっぱ寿司まで歩いていくかどうかまよっている。自転車で行くべきなんだけど、自転車にはツルがからまっている。あれをとって、タイヤに空気を入れて行くというのは、ちょっとね。この気温で、そういう作業をして、虫に刺されてかゆくなると、いやな気持になる。もう、それも、何回も経験した。だから、親父に「木を植えないでくれ」と何回も言ったのに、けっきょく、木が増えているんだよね。親父が入院した時点で。入院する前の、庭をいじれる期間中、ずっと「木を減らしてくれ」と言っていたのに、 増えているんだよな。減らしたところもあるんだけど、なぜか、飢えたところもあって、けっきょく増えている。まあ、木だけじゃなくて、多年草も植えたんだよね。
親父が入院したあと、ネズミのことでネズミ対策業者と相談したことがある。そのネズミ対策業者の人が「ここは、ジャングルですか」と言ったんだよ。俺がそういうことを言われる。いつも、いつも、そうなんだよ。親父がやったことなんだよ。ネズミの餌付けも親父がやったことなんだよ。何年間も「俺が捕まえるからいい」と言って、ネズミ対策工事をしなかったは親父なんだよ。あれほど、俺が、「このままだと、ネズミの糞がふえるからやばい」と言っているのに、あいつはぁ……。ネズミ対策業者の人と縁側のほうにまわったわけだけど、めちゃくちゃに蚊に刺されるわけよ。ネズミ対策工事業者の人だって、蚊に刺されたくないわけ。玄関で待っているときに、蚊に刺されたらしくて、「ここは、蚊が多いですね」と言うわけだよ。俺に言うな。俺だって、こまっているんだよ。親父が、ばんばん、植木を植えたから、こんなことになっているの。「減らしてくれ」って言ったのに、増えちゃっている。俺が、「親父が粕漬の魚で餌付けをした」ということや「親父が『俺が捕まえるからいい』と言い張ってネズミ対策工事に反対した」ということを言ったとき、そのネズミ対策業者の人は「いまいない人のことを言ってもしかたがないんじゃないですか」ということを言ったんだよ。だったら、おまえも、「蚊に刺されてかゆい」ということを言うなよ。いまここにいない、親父が、がんばってがんばって、木を植えちゃったんだよ。竹を植えちゃったんだよ。だから、蚊がいっぱいいるんだよ。
これ、お母さんも言ってたんだよな。親父がいないときに、ほかの人から「ここは、ジャングルですか? と言われる」と言っていた。お母さんが言ってたの。あのときから、お母さんは「木を減らしてくれ」とずっと言ってたの……。