いろいろとどうするか、まよいちゅう。
まよってばかりなんだけど、しかたがない。まよいの多い人生だった。
気楽じゃないんだよね。長期騒音期間中、長期騒音後、ずっとずっと、気楽じゃない。これ、ほんとうにちがうんだよね。 全部がちがう。ぜんぜんちがう人生なんだよな。きちがいヘビメタがはじまらなければ、ぜんぜんちがう人生なんだよ。
けど、そんなのは、俺以外、関心がない。現実に起こったことが、重視される。……もちろん、そうだ。そうでしかない。
それがくるしい。くるしみをうみだす。
ヘビメタ騒音って、やられたことがない人にはわからないだろうけど、一日中、こたえるものだ。たとえ、鳴っている時間が七時間でも、一日中、こたえる。そして、疲れが、疲れが次の日に残る。深夜一二時をこえて起きていることになるから、一日またぐけど、次の日の睡眠に影響を与える。
一番、睡眠が深いところで、起こされて動かなければならなくなる。二時間、三時間ぐらいしか眠ってないので、まだ、五時間ぐらいは眠りたいのに、起きて行動しなければならなくなる。
そして、帰れば、きちがいの音が鳴っている。兄貴の態度がおやじ態度とおなじなんだけど、それも、普通の人にはまったくわからない。それが、くやしい。ともかく、普通の人が体験しないことを体験して、俺が、文句を言われる。鳴らされているのにぎりぎりのところで頑張っている俺が文句を言われる。きちがい兄は気文句を言われない。
もちろん、俺があっている人に兄貴が文句を言われないだけで、俺からは文句を言われているけど。「きちがいヘビメタ騒音でどうしてもそうなる」という必然性が、やられてないほかの人たちにはわからない。
なにをするときも、ヘビメタ騒音に何千日もやられた体力、ヘビメタ騒音で何千日も寝不足状態でやるということになる。きちがい兄貴のきちがい的な態度に、破滅的な怒りを感じているのだけど、その破滅的な怒りを、かくして、ほかの人と交流しなければならなくなる。
その俺は、やはり、きちがいヘビメタ騒音で、体力も精神力も弱り切った俺なのである。こんなのはない。「なり終わったなら関係がない」と現実的ではない思考をするやつから、俺がバカにされることになる。そりゃ、きちがいヘビメタ騒音は学業成績に影響を与えるから……。そして、人は学校歴を見て、だいたいの、そいつの頭の良さを推し量るから。
ヘビメタ騒音が鳴ってないけど、勉強はやりたくないからやらないというひとはいいんだよ。俺だって、漫画家を目指しているのであればそうだった。けど、俺は学問の世界で生きたかった。だから、ちがう。漫画家を目指していたときもあるんだよね。小学生のときだけど……。そのときは、ほんとうに勉強なんてどうでもいいから、家に帰っても勉強をしなかった。それでも、特定の科目は、いつも成績がよかった。それは、好きだったからだ。けど、きちがいヘビメタがずっと鳴っている状態だと、それもできなくなる。好きな本を読むというとができなくなる。これは、学業成績に影響を影響を与える。
ともかく、ヘビメタ騒音はものすごいハンディなんだけど、ほかの人にはハンディが見えない。ヘビメタ騒音で「おしだされてしまうこと」というのがある。情緒不安定、睡眠不足、体力低下、不満。
ともかく、ヘビメタ騒音が毎日続かなければ、こんなことにはなってない。しかし、「 ヘビメタ騒音が毎日続かなければ、こんなことにはなってない」というのが、ほかの人は、言い訳に聞こえる。そして、そのいうふう考える人は、毎日のヘビメタ騒音を経験てない。きちがい兄貴によるヘビメタ騒音を経験してない。あのきちがいっぷりはないというような態度で鳴らす。
しかも、親父とおなじで、自分の意地を一〇〇%通したら、一〇〇%関係がない人になってしまうのである。……こんなのはない。そういうところで、きちがい兄貴はほかの人はちがう。そして、こだわり方が、ほかの人とはちがうんだよね。自分がやりたい音で鳴らすということに対する、こだわりがすごい。しかし、親父とおなじで、自分にとって都合が悪いことは、きちがい的な意地で認めないのである。
だから、本人は「知らないまま」なんだよ。
何万回言われようが、知らないまま……やっているということになる。自分のヘビメタ騒音で……こだわりの音で、弟がどんな目にあっているか、どれだけ言われても、わからない状態ができあがっている。言われたとき、怒り狂ってはねのければ、言われなかったことになってしまう。一〇〇%、そうなんだよ。
きちがい兄貴だって、親父におなじことをやられれば、怒っていたのに、自分は、弟にたいしてまったく同じことをしやがる。
そして、「やった」ということに関する認識も、きちがい親父とおなじなのである。「やったってやってない」ということになる。
この「やったってやってない」という認識だって、ほかの人には、わからないことだ。ほかの人の世界では、そんなことはない。そういう認識システムをもっている家族といっしょに住んでいるやつなんて、ぼく以外、いない。いっしょに住んでないとわからないんだよ。
これがやっかいなんだよ。
ともかく、特殊な家族に毎日毎日、ずっと騒音による暴行を受けていたのだけど、その深刻さが、ほかの人にはわからないんだよね。俺が勝手に、不活性になっているように見える。俺が勝手に、憂鬱になっているように見える。俺が勝手に、怒りやすい状態になっているように見える。なにか、トラブルが発生したあとに、「ヘビメタ騒音が鳴っているから、どうしてもこうなる」と言っても、ほかの人は認めない。「なにがヘビメタ騒音だ」「そんなの、兄貴に言えばいいだろ」とか言って、怒る。
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ヘビメタのでかさがわかってない。きちがい兄貴の頭の構造がわかってない。きちがい親父のアマの構造がわかってない。きちがいヘビメタの影響のでかさがわかってない。ほかの人たちには、これがわからない。
だから、「そんなにでかい音で鳴らしているのに、親がなにも言わないなんておかしい」とか言いやがる。「過去のことは関係がない」「鳴り終わったら、関係がない」「成人するまでにやられたことは、成人したら関係がない」とか言いやがる。一九歳までに、有機水銀を摂取して、症状が出ている状態で、二〇歳になった。二〇歳になったら、勝手に有機水銀が体から出ていって、関係がない状態になるのか?
ならないだろ。
毎日、一一歳から一九歳まで、やられたことが、影響を与えないはずがない。
もちろん、やられたことのうち、無視できることもあるだろう。けど、ヘビメタ騒音は、不可避的に影響を与える。脳みそを含んだ身体に、「意識的な意志」ではかえることができない影響を与える。兄貴のヘビメタ騒音は、何千日やられても、影響が出ないことではないのである。けど、家族によるきちがい騒音を毎日経験した人なんていないから、わからない。
俺とおなじぶんだけ、ヘビメタ騒音……自分がこの世でもっともきらいな音が、ガンガン、一日中鳴っている状態を経験した人しかわからない。不可避的。必然的。
「どうしたってなる」というところがわからない。「どうしたって、影響が出る」ということころがわからない。「どうしたって、影響が残る」というところがわからない。「(エイリさんが)あまえたことを言っているだけ」なのである。サトウやソウイチは、そういう解釈をしたんだよ。
これが一般的な解釈なんだよ。ヘビメタ騒音に関する解釈なんだよ。ヘビメタ騒音にやられて、働けない状態になったのに、こういうことを言われる状態になる。もちろん、きちがい
兄貴は、「そうしてやろう」と思って、ヘビメタを鳴らしていたわけじゃない。
一日中、自分が、好きな音で、好きな時間の長さ、いつでも鳴らしていいと思って、夢中になって鳴らしていただけだ。けど、それが、影響を与える。不可避的な影響を与える。サトウやソウイチとのくそみたいな交流だってそういうだどぃのうえに成り立っている交流なのである。
ヘビメタ騒音の影響をなめやがって。俺をなめやがって。なめているんだよ。
けど、じゃ、「おまえらは、ヘビメタ騒音のことがわかってない」「おまえらは、おれのことをなめている」と俺が、そいつらに言ったらどうなる? そいつらは、俺が未熟な人間だからそういうことを言っていると思うんだよ。未熟なのは、「不可避性」を認められないおまえらだ。 未熟なのは、「必然性」を認められないおまえらだ。未熟なのは、「影響のでかさ」を認められないおまえらだ。