(以降、重複あり)
もうちょっと、複雑な設定として、超・金持ち、金持ち、普通、貧乏、極貧の五段階に分ける設定を考えたとする。超・金持ちは白一〇〇個、金持ちは、白九〇個に黒一〇個、普通は白五〇個に黒五〇個、貧乏は白一〇個に、黒九〇個、極貧は白〇個に黒一〇〇個。
こうすると、だいぶリアルに近くなる。カネモッチーが、「感謝をしてまわすと、白玉が出る」と言ったとする。
そうなると、フツーッチは、「感謝をしてまわす」ようになる。そして、二回続けて白玉が出れば、「感謝をしてまわせば、白玉が出る」というのは真実だと感じるだろう。そのあと、二回連続して、黒玉が出ても、気にしない。
最初の、白玉二連続のほうが、印象が強烈なので、あとの黒玉に連続は無視してしまう。これは、言ってみれば、失敗にはこだわらないという意味で「ポジティブ思考」だ。
しかし、フツーッチがそのまま、ずっと、何回も何回もガラポンをまわすと、白玉五〇%、黒玉五〇%という確率に近づいていく。しかも、たぶんだけど、「感謝をしてまわせば、白玉が出る」と信じているフツーッチは、「感謝をしてまわしても、確率はおなじだ」ということに気がつかないだろう。
カネモッチーが、白玉をいっぱい出せるのは、金持ちがまわすガラポンのなかにつねに九〇個の白玉が入っているからだ。黒玉は一〇個しかない。
たまには、失敗する。それがまた、リアルだろ。
ずるはしてないという印象ができあがる。
しかし、感謝をしてまわすかどうかは、白玉が出る確率とはまったく関係がない。白玉が出る頻度と言ってもいいのだけど、白玉が出る頻度は「感謝をしてまわすか」「感謝をしないでまわすか」とはまったく!関係がない。
関係がないのだけど、カネモッチーが、「嘘情報」を流して、フツーッチとビンボッチがそれを信じてしまう。問題なのは、カネモッチーには、人をだましてやろうという気持ちがないことだ。これが、どれだけ悪質なことか、カネモッチーもフツーッチもビンボッチも気がつけない。
気がつけるのは、抽選機の秘密を知っている人だけだ。「市場」に参加している人たちは、気がつけない。まあ、市場って「リアル人生ゲーム」の市場ということね。