あの子となかよくしておけばよかったよ。あの子となかよくしておけばよかったよ。あっちから言ってきたんだから、きちがいヘビメタが続いていたとしてもしばらくはつきあえただろうな。けど、どのみち、ヘビメタでつぶれる。三下り半をつけられる感じがする。あー。俺は、ほんとうに、ヘビメタ騒音にやられてだめだめになっている俺がいやだったんだ。きちがい兄貴、まったくわかってないな。だめになるに決まっているだろ。あんなの、やられて、いいわけがない。あんなのが毎日続いていいわけがない。あんなのが毎日続いて、学業がだめにならないわけがない。格好がつかなくなる。自分に自信?? きちがい兄貴にやられていて、きちがい騒音で毎日ズタボロで、自信なんて持てるわけがないだろ。ほんとうに、〇ね。
ボロボロ生活なんだよな。激しい、きちがい騒音で、ズタボロなんだよ。学校に行けば……学校ではヘビメタ騒音が鳴っているわけではないので、どれだけひどい音で鳴っているか体験を通して知っている人は少ない。俺の部屋に入った人だけ知っている。あとは知らない。だから、知らない人にとってみれば、たとえ、俺が言ったとしても「話で聞いたこと」になってしまう。知っているけど、関係がないわけで、実情は伝わりにくい。
たとえ、言葉で説明したとしても、実際にその場で鳴っているわけではないのだから「知識」として鳴っているということを知っているという状態にとどまる。その場合、なになにができないということは、認められない。騒音で勉強ができないということは認められない。騒音で、提出するものを仕上げることができないということは認められない。騒音で、普通の速度では走れないということは認められない。騒音がそれほど鳴っているのだから、夜眠れなくなって、遅刻するのは当然だということにはならない。ヘビメタ騒音が鳴ってたって、遅刻しないで学校に通うことはできる……と、きちがいヘビメタ騒音にさらされてないやつらが、考えてしまう。確信してしまう。深く、考えずに確信してしまう。それは、佐藤さんだってそうなのである。佐藤さんと会ったのは、俺が35歳のときだけど、俺が中学のときから、ほかの人の態度というのは、佐藤さんの態度とおなじなのである。
ほかの人は「きちがいによる騒音」というものがわかってない。そのきちがいが、家族の一員であるということの意味がわかってない。聞いた話……。俺がどれだけでかい音で鳴っていると言ったって、その話を聞いている人は、毎日俺の部屋にいるわけではないから、きちがい騒音のでかさと、しつこさがわからない。何時間も何時間もきちがい騒音が持続した場合、 からだがどうなるか、わからない。自分の体がどうなってしまうのかわかってない。それが、一日だけではなくて、数千日続いた場合、自分の体が「基本的に」「ノーマルな状態」でどうなってしまうのか、ぜんぜんわかってない。経験がないから、まったくわからない。すべて、き・い・た・は・な・し・だ。そして、きちがい家族がいない人にとっては、きちがい家族のことが、想像できないのである。「そんなのは、お兄さんにやめてと言えばいいだろ」などと言ってくる。こういう発言が、どれだけ俺を傷つけるかわかってない。こういう発言がどれだけ、現実を無視した発言かわかってない。