机の前にすわって考えることも、歩きながら考えることもおなじだ。ヘビメタ騒音なしですごしたかった。ヘビメタ騒音なしで、生きたかった。ぜんぜんちがう人生になっただろう。ほんとうに、ぜーーんぜん、ちがうと思う。みんなわかってない。わかってないんだよ。わかってない。どれだけのことができなくなるか。どれだけ、行き場がなくなるか。わかってない。
ほかの人にはない、兄のヘビメタ騒音というハンディ。ほかの人には、わからない。ないからわからない。どうして、俺だけ……。どうして、俺だけ……。きちがいだから、聞かない。絶対の意地で聞かない。きちがいおやじとおなじで、兄貴は、きちがい的な意地でやったことは、きちがい的な意地で否定する。きちがい的な意地でずっとやったことは、まったくやってないつもりでいる。これは、正確に言うと、まったくやってないのとおなじ気分でいるということだ。で、鳴っているあいだが、とにもかくにも、くるしいのである。くるしい。まるまるしたくなるほどくるしい。あんなのが毎日、続いていいわけがない。
みんな、俺だって……と言うけど、毎日続いたことじゃないんだよな。14年間毎日続いたことじゃないんだよな。どれだけ、体力、落ちるか。能力、落ちるか。「そんなの、関係がない」と言ったやつをまるまるまる、まるまるまるまる。
ほんとう、ちがうのに……。そして、俺がこういうことを書けば、負け犬の遠吠えだと言いやがる。そいつらは、きちがい家族によるヘビメタ騒音のハンディがない。「俺だって」と言うときの、ハンディと、きちがい家族によるヘビメタ騒音のハンディは、あきらかに、つりあってない。「俺だって……」という言葉のあとに続くトラブルを絶対量で1だとすると。ヘビメタが10時間鳴っているだけで、絶対量で1億ぐらいになる。そして、そのあと、学校やほかの場所で、絶対量1のトラブルが10個ぐらいしょうじてしまうのである。一個一個のでかい音が、俺の脳みそを破壊する。これは、ない。こんなの、やられて、普通の気分なんてたもてるわけがない。鳴っていなかったときの、体力なんてたもてるわけがない。
ともかく、ヘビメタ騒音がほんとうに鳴っていなければ、ぼくがこういうことを言って、それに対して、普通の人たち……ヘビメタ騒音の経験がない人たちが「俺だって……」と言うこともなかった。全部、実際にヘビメタが鳴ったあとに生じることなのである。全部、実際にヘビメタ騒音が鳴っていたから、生じることなのである。最初からなってなかったら、そういう不愉快な「交流」も生じてない。
きちがい家族による……ヘビメタ騒音というのが、ほんとうに、盲点なのである。他人にしてみれば、たいしたことに思えなぃことなのであ。そして、そういうふうなことを言われる俺は、すでに、数千日の打撃を受けている。数千日の狂った打撃を受けたあとだ。あとの姿なんだよ。やられて、こまっている状態で、他人からダメ出しをされる。佐藤よ! おまえから言われたようなことを、ほかのやつからも言われた。「世間」。やられてない世間。きちがい家族のことがまったくわかってない世間。ヘビメタ騒音でどれだけ疲れはてて、どれだけ能力がなくなるかわかってない世間。
無能なのは、おまえらだ。無能だから、わからない。見当ちがいのことを言う。もちろん、「見当ちがいだ」なんて思ってないんだよ。見当ちがいというのは、こっちから見た話だから。見当ちがいというのは、きちがい家族によるヘビメタ騒音……しつこつしつこい、頑固な頑固な、毎日毎日続くヘビメタ騒音を聞かされなかったら、わからないことなんだよ。まあ、無能だから、想像がつかないというところもあるのだけど……。ゆるせない。
ヘビメタ騒音にやられたあと、どれだけがんばっても、ボロボロになる。がんばるということができない状態になってしまう。もう、きちがいヘビメタのなかで、死ぬほどがんばったから、がんばれない状態になる。きちがいの音にさらされながら生きているということだけで、どれだけ、たいへんか!! おまえらは、ゆるさない。ゆるさない。
ともかく、「ヘビメタ騒音なんてなんでもない」というようなことを言ったやつや「人間は働くべきだ」ということをヘビメタ騒音の話を聞いたあとに言ったやつらは、ぼくのことを激しく激しく、ばかにしている。はげしく、はげしく、侮辱している。侮辱しているということがわからないんだよな。「そんなの、あたりまえじゃないか」と言いやがる。二重に侮辱している。
きちがい家族に、人知れず、やられ続けるとこういうことになってしまう。きちがい兄貴が普通の人間で、「でかい音を出している」ということを認識して、やめてくれれば、それで済んだ話なんだぞ。「人間は働くべきだ」ということをヘビメタ騒音の話を聞いたあとに言ったやつらは、そういうしつこい騒音にさらされてない。きちがい家族による騒音に、日常的にさらされてない。きちがい家族が、きちがい的にでかい音で、ガンガン音を鳴らすということを、日常的に経験してない。毎日毎日、何年間も経験してない。十数年間、毎日、経験してない。中学三年間、高校三年間という、現代社会に生きる人間にとっとてつもなく大切な六年間を、ヘビメタ騒音を鳴らされたまま、毎日すごしてない。学生時代を通して、経験してない。
そりゃ、そういう経験をせずに、中学三年間、高校三年間をヘビメタ騒音なしですごして、現在の地位をつかんだ人間にしてみれば「過去のことなんてどうでもいい」のである。こんなのない……。そして、 中学三年間、高校三年間をヘビメタ騒音なしですごしたやつらのほうが、はるかに多い。絶対多数。中学三年間、高校三年間をヘビメタ騒音なしですごせなかったやつは、俺だけ。ゆるせない。