あのときの、あれ、ない。
だれもわからない。
けっきょく、俺が言っているだけになってしまう。
ほんとーーーに、きちがい感覚で、無視してやってたんだよ。きちがい兄貴は、きちがいおやじとおなじ構造の頭を持っているのだけど……。
毎日やられたらおしまいだ。どれだけ、努力してもむくわれない。きちがいヘビメタ騒音のなかで、体力をなくし、疲れていくだけだ。
「そんなの、静かにしてって、言えばいいでしょ」と言った某会社の代表取締役……ゆるさない。
今度生まれ変わったら、ヘビメタ騒音がない世界に行きたい。
基本、ほかの人には、きちがい兄貴の、きちがいヘビメタ騒音がない。こだわりつくしの音で鳴らし続ける、きちがい野郎が横の部屋に住んでいるということが……持つ意味がわからない。ほんとうに、俺が言っているだけになってしまう。
きちがい兄貴は、こだわりがすごいんだよ。絶対に自分が好きな時間に鳴らすということに、こだわっていた。絶対に自分が鳴らしたい音で鳴らすということにこだわっていた。自分が鳴らしたい音で鳴らすということに、きちがいおやじと同じレベルの頑固さでこだわっていたやつが、「静かにするわけがない」でしょ。殺さないと、解決しない。殺さないと、解決しない。やられっぱなしだと、どうしても、一日が重たくなる。佐藤などは、そういう一日の積み重ねを無視しやがる。佐藤のような人間にとってみれば、俺がおかしいことを言っているだけなのである。
ほんとうに、偏差値二十、二十五下の世界で生きてみろ。どれだけの屈辱を受けるか。佐藤の態度も、ほんとうは、俺が屈辱を感じる態度なんだぞ。本人は、まるで、気がついてないけど。他人は……そうだよ。他人はそうなんだよ。
たとえば、きちがい兄貴の頭のつくりが特殊だとしよう……なら、きちがい兄貴は、きちがい兄貴の欲望のおもむくまま、こだわりの曲を、こだわりの音のでかさで、聞いていいのか?
それは、ちっちゃい問題じゃないんだぞ。おまえら、まったくわかってないだろ。