ほんとうに、ヘビメタ騒音で……。あんな気分で、人とつきあえるわけがない。どれだけ、「つけあげ」があったか? 普段の俺が、普段の俺じゃないんだよ。ヘビメタにやられて続けている俺と、やられてない俺はちがうの!!あんな気分で女の子とつきあえるわけがないだろ。
あの、気分はない。小学六年生のときから「いえでべんきょうができない」ということが、どれだけ影響を与えるか? 積み重なって影響を与えるか? どれだけのことが積み重なるか? 学校の出来事と家の出来事で相乗効果がある。
小学六年生のときから「よる、ふつうにねむれない」ということが、どれだけの影響を与えるか? 「元気だ元気だと言えば、元気になる」とか、そういうことで、かたづくわけがないだろ。元気になるわけがないだろ。きちがい兄貴が一日目に、ヘビメタをやめなければ、無意味なんだよ。ヘビメタ騒音生活が続いている「なか」で、どれだけ「元気だ元気だ」と言っても、元気にならない。
どれだけ、つきあげられるか? 女の子といっしょにいれなくなってしまうだろ。普通の気分でいれなくなってしまうだろ。つれあったらつきあったで「受験なのにこんなことをしていていいのだろうか」という気分になってしまうだろう。
それは、きちがい兄貴が、俺の存在と俺の言い分を無視して、「しらんぷり」で、いつものように、いつものヘビメタを、ガンガンガンガン、本人が眠るまで鳴らしているからなんだよ。
きちがい兄貴のヘビメタが鳴っている時間は、俺がどれだけヘビメタ騒音を無視しようとしても、ヘビメタ騒音からのがれようと、部屋の中で自分の位置をかえても、どうにもならなかった。外に出れば、さすがに、ヘビメタ騒音からのがれられるけど、帰ってきたら、帰ってきた時点から、きちがい兄貴が眠る時点までずっと鳴っているという状態になる。
そういう状態が、たとえ、一分間でもくるしいのに……。
ヘビメタ騒音なしで、あの娘と普通につきあいたかった。普通に……。
あれ、気違いヘビメタがあると……どーーーしてもむりなんだよな。ヘビメタ騒音の圧迫。ヘビメタ騒音の発狂的な圧迫。圧迫がすべてをぶちこわす。たつせがない。勉強だって……恋愛だって……友達だって……。前の日のヘビメタでメチャクチャな状態なんだぞ。圧迫。あの、雰囲気はない。全部、メチャクチャになるんだよ。範囲を限定できないんだよ。不可避的にメチャクチャになるの!! おまえら、わかってないだけだろ。自分なら平気だと思っているんだろ。実際にやられたら、ちがうということがわかるよ。それが、一〇年も続いたら……。どんだけつもるか? あの娘と普通につきあいたかった。気違いヘビメタ騒音なしで普通につきあいたかった。