ほんとうに、すべての時間、勉強の邪魔をされ続けるというのが、つらい。なっている時間は勉強ができない。勉強ができないだけではなく、体力がおちて、夜眠れなくなる。激しく興奮している状態で、その興奮自体が、気持ちが悪い。激しく怒っているのに、それを抑制しようとする気持ちがあって、くるしい。激しく怒るちからと、怒りを抑えるちからが拮抗している状態でくるしい。こんなの、何年間も毎日、続いたら、そりゃ、精神も睡眠回路担当部分の脳も壊れる。
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俺はやっぱり相当にダメだ。つかれた。猛烈につかれた。いま、ご飯を炊くのがめんどうくさい。ただ単に、米を入れて、水を入れて、セットして、スイッチを押すだけなのに、できない。まあ、これは、できないのではなくてやりたくないだけなのだけど……。けど、これ、押してやってもいいことがないんだよな。がんばってやってもいいことがない。よけいにつかれるだけ……。どこかでまた、そのつかれが出る。
押してやった、つかれがでてしまう。それは、気違いヘビメタ騒音のときからずっとそう。気違いヘビメタが鳴り始めてからずっとそうだ。ほんとうに、どれだけ気にしないようにしても、眠れない状態ですごして、体力が一〇分の一、二〇分の一になっちゃうんだよな。他の人にはわからないから、俺がもともと、そういう体力しかないと思ってしまう。で、普通にバカにする。もう、そういうことでも、つかれはてた。昨日やなぎ荘のことを思い出したんだけど、気違い兄貴のヘビメタなんて、気違い兄貴があの音で鳴らしていたら、一号室から九号室の人まで、みんな出てきて、「やめてくれ」って言うと思う。苦情が出ると思うよ。五分間で……。そういうレベルの騒音が、ずっとずっと続いた。
佐藤みたいなやつも普通にバカにするわけだけど、バカにしているとは思ってないんだろうな。けど、じゃあ、ぼくが、助教授として働いていたらどうなんだよ。絶対にあんな態度を、とってない。俺が塾を経営している経営者だったらどうなんだよ? 絶対にあんな態度をとってない。ああいう態度を普通とれるということは、見下して、バカにしているんだよ。日本は、無職に対する偏見がすごい。これは、もう、病気のレベルで、すり込まれている。これは、なんとしても、小さいときから、すり込まなければならないことだから、すり込んでいると言ってもいい。だから、佐藤みたいなやつは、「ふ・つ・う」の人なのである。これが、問題だ。佐藤は普通の人の感覚を持っている。これが、問題だ。
けど、無職じゃなくても、……気違いヘビメタ騒音で、引きこもったとすると、引きこもりということで、バカにするやつが出てくるんだよ。で、これは、小学生のときから続いている。俺は、家でヘビメタが鳴っていたわけだから、学校にいるときよりも家にいるときのほうが、何千倍も、何万倍もつらかった。けど、家で勉強ができないとなると、なめられるのである。あるいは、家で、なめられていると、学校でもなめられるようになるのである。それを必死で、追い払って、つっぱって、生きてきた。わからないんだろうな。気違いヘビメタが鳴っていると言うことがどれだけの威力があるか? 気違い兄貴の態度そのものが、気違い的なレベルで人をなめているので、他の人から、なめられがちになる。家でなめられているやつは、学校でもなめられるようになる……これ、よっぽどのことがないとくつがえせない。ほんとうに、教育学とかそういうことを学んでいる人は、そういうことについてちょっとは真剣に考えたほうがいいよ。これがまた、小さいときに親や兄弟にやられたことは関係がありません……という立場なんだからな。そりゃ、認知療法のレベルだとそうなる。
ほんとうに、そこでどういう交流が為されているのか、ちょっとは真剣に考えたほうがいいよ。