さっき、ちょっとだけ、『歩いて、ブックオフ(中古本屋)に行こうかな』と思った。
実際には、行かないのだけど、多少思っただけでも、復活したのかな。
ここ五年間は、それどころじゃなかった。買い物にに行くのと同じで、別に、古本屋に行ったところで、おもしろいことはない。
くるしい記憶の中を、ふらついているようなものだからだ。
すべてが……ヘビメタ騒音以降のすべての記憶が、くるしい記憶になってしまった。これ、ほかの人には、不可避性がわからない。不可避性がわからない。つぶされた未来の多さがわからない。
横になっているときに考えたことは、きちがいヘビメタ騒音のつらさだ。
この毎日続く、ヘビメタ騒音のつらさが、ほかの人にはまったくわからないのだ。ぼくの経験の範囲で言うと、みんな……「そんなのは関係がない」「なんだ!そんなのぉ」「俺だって騒音ぐらいある」というようなものだ。
「そんなのは嘘だ」という反応もあるけどね。
ともかく、持続しているあいだ、ほんとうにほんとうに、ほんとうに、つらいのである。きちがい兄貴の態度が問題なのだ。
そして、たとえば、入学試験前に、ずっとずっと、何日も前からもめているのに、入学試験前日ですら、一秒もゆずってくれなかったという事実がある。実際には、入学試験前日は、一日だけ、しずかにしてくれたことがある。
けど、アンプ付きスピーカーにはつながずに、エレキギターは鳴らしていた。おなじような音が鳴っているので、いまいましかった。
これ、「一日でもしずかにしてくれたならなら、いいじゃないか」と考える人がいるかもしれないけど、二日前(試験当日)は、一秒もしずかにしてくなかったし、次の高校入試の前日は、しずかにしてくれなかったのである。
一生涯のなかで、しずかにしてくれた日が、一日だけなのである。それ以外の日は、なんだろうが、一秒もしずかにしないで鳴らしていた。
ところが、きちがいだから、「しずかにしてやったつもり」なのである。
これが、湯気が出るほど頭にくることだ。
これ、こういう空間なのである。ぼくの頭から、湯気が出るほど頭にくることなのだけど、きちがい兄貴も、顔を真っ赤にして、怒り狂って、不退転の決意で、がめつくがめつく鳴らしているのである。
きちがい親父も、自分の意地を通す時の態度がおなじなのである。きちがい兄貴もきちがい親父も、きちがい的な意地で、全部の時間やりきるけど、やりきったつもりがまったくない状態なのだ。
けど、「やめろ」「やめてくれ」と言われれば、頭から湯気を出して、怒り狂って、やりきるのである。あれだけ意地になって、全部時間やりきっているのに、本人は、まったくそのつもりがないなんて、どれだけ擁護したって、きちがい以外のなにもでもない。
まったく本人が関知しないという意味で、狂っているのである。まったく本人が関知しないという意味で、「ほんとうに、ほんとうに、やったつもりがない」のである。
都合よく狂って、きちがい的な意地でやったことが、まったくやってないことになってしまっている。
全自動で、消しているのである。全自動でやりきって、全自動で、消しているのである。
「やっているつもり」が現在進行形でないのである。
ならやめてくれるのかというと、きちがい的な意地で、頭から湯気を出してやりきる。真っ赤な顔をしてやりきる。「やめてくれ」ということを言われたら、頭から湯気を出してやりきるのである。
これが、どういうことだかわかるか?
いや、わかるわけがない。
俺が怒って、頭から、湯気を出して「やめろ」と言ったって、「やめろ」と言われたやつが、頭から湯気を出してやりきるのである。
きちがい空間。しかも、ほんとうに、「やったつもり」がないのである。これは、「つもりがない」だけではなくて、「やったということになっていない」のである。
ようするに、「やらなかった」ということになっている。ここがきちがいポイントなんだよな。けど、兄貴や親父は、自分きちがいポイントがわからない。
そりゃ、きちがい的な意地でやりきって、やったつもりがまったくないのだから、きちがいポイントだと思えるはずがない。
そして、このきちがいポイントについて、よその人の理解が、まったくないのである。
そして、よその人は、そういうきちがい家族にやられたことがないのである。きちがい家族がやりきってしまう日を経験していないのである。きちがい家族が、やりきってしまう時間を経験していないのである。
だから、わからない。
どれだけくやしいかわからない。
兄貴の騒音なら騒音で、騒音が鳴っているあいだ、どれだけ(こっちが)頭にくるか、(よその人は)わからない。わからないでものを言っている。
きちがい家族と一緒に住んだことがないから、これがどれほど、頭にくることか、わかっていないのである。
あの騒音が、どれだけ、精神を崩壊させるか、わかっていない。
ほかの人たちはわかっていない。
あんな音で、前日に鳴らされて、志望校に受かるわけがない。
だいたい、中学三年間、プラス、小学六年生の半年間、ずっと毎日、この態度で……あの態度で……鳴らされ続けたのである。
鳴らされている時間は、単なる、鳴らされている時間じゃないんだよ。レイプされているんだよ。精神をレイプされている。
もちろん、勉強時間も破壊されている。ハンディがないわけじゃない。関係がないわけじゃない。関係ある。
ところが、よその人は、「関係がない」と言う。騒音なんていくら鳴っていたって、勉強ぐらいできると言う。鳴り終わったら勉強ぐらいできるという。
ところが、むちゃくちなんだよ。めちゃくちゃなの……。鳴り終わったあとも、とても、勉強ができる状態じゃない。
だいたい、鳴り終わる時間は一一時一〇分なので、もう、そのときには、「眠るべき時間」になっているのである。